“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
「うちの子は記憶力が弱くて…」
「勉強の才能がもともと決まっているなら、努力に意味はあるの?」
学習支援の現場で、保護者の方からこのような相談を受けることがよくあります。
結論から言えば、脳は成長します。
しかも、子どもだけでなく大人でも伸びます。
これは近年の神経科学によって明確になっている事実です。
脳は生涯発達する「可塑性」を持つ
かつては「脳は幼少期がピーク」と考えられていましたが、現在では脳は経験によって神経回路が組み替わり続ける臓器であることが分かっています。
ハーバード大学の研究では、学習状況に応じてシナプス(神経の結合)が増減し、
新しい課題に挑戦した際には、脳の活動領域や回路の太さが変化することが報告されています。
つまり、学びは脳を物理的に変化させる行為なのです。
脳が成長する条件は「量」ではなく「質」
「たくさん勉強すれば伸びる」このイメージは半分正しく、半分誤りです。
脳が強く育つのは、次の3つの環境が整ったときです。
① 適度な難易度
簡単すぎても、難しすぎても脳は動かない。
“あと少しで届く課題”に挑戦した時に成長が最大化します。
② 失敗と修正のサイクル
間違いは成長の前提であり、回路を強化する材料です。
完璧な学習より、試行錯誤こそ脳を鍛えます。
③ 成功体験によるドーパミン分泌
できた瞬間、脳内に報酬物質ドーパミンが分泌され、次の挑戦意欲と回路の固定を後押しします。努力の方向性が不適切だと、時間をかけても伸びにくい理由はここにあります。
伸びる子に共通するのは「環境の設計」
才能や地頭だけが結果を決めるわけではありません。
脳が育つ条件を満たす環境に身を置いた子どもは、時間とともに理解力・記憶力・集中力が向上していきます。
教育の現場で私が重視しているのは、「成功体験の設計」と「脳の使い方の指導」です。
・ できる課題から段階的にステップアップさせる
・ 小さな達成を積み上げる
・失敗を責めず、改善の機会として扱う
・ 正解より「考え方」に目を向ける
こうした環境さえ整えば、脳は自然と育ちます。
“できない”のではなく、まだ回路が育っていないだけなのです。
脳は固定された能力ではなく、育てることができるシステムです。
そして、その能力をどう伸ばすかは、日々の関わり方と学習設計に大きく左右されます。
今日の「できない」は、未来の「できる予備軍」
子どもたちの脳は、挑戦と経験によって必ず成長します。
学習環境を整え、成功体験を積み重ねることで、子どもは想像以上に伸びていきます。
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