“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
なぜ「ご褒美教育」はうまくいかないのか?
「テストで80点ならご褒美」
といった“ご褒美で釣る勉強法”は、多くの家庭で使われています。
しかし近年、「ご褒美教育は勉強のやる気を低下させる」
という研究結果が世界的に多数報告されています。
実際に私の教室にも、“ご褒美がないと動かなくなる子”が一定数います。なぜご褒美に頼った教育は破綻するのか?
その科学的メカニズムと、より良い学習法について解説します。
ご褒美教育の根本問題は「外発的動機づけ」にある
ご褒美による学習は、心理学では 「外発的動機づけ」 と呼ばれます。
外発的動機づけとは、“外から与えられた報酬のために行動する” やる気のこと。
この動機づけが強くなるほど、子どもの“元々のやる気=内発的動機づけ”が弱まることが知られています。
有名なのはデシ&ライアンの「自己決定理論」
ご褒美を与えるほど、子どもは楽しいから勉強するできるようになりたいから学ぶという本来のモチベーションを失っていきます。
ご褒美は短期的にしか効かない
多くのご家庭が感じているのは
「最初はご褒美で動くけど、すぐ効かなくなる」という現象です。
理由は明確で、脳がご褒美に慣れてしまうから。
すると、もっと大きなご褒美がないと動けない
ご褒美がなければやらない
勉強そのものに価値を感じなくなる
という負のスパイラルに陥ります。
ご褒美が“脳の報酬系”を壊し、やる気を奪う
勉強のやる気は 前頭前野と報酬系の連携 によって生まれます。
ところがご褒美で釣る教育は、脳に「報酬がなければ価値がない行動」と記憶させてしまうため
集中が続かない
作業が雑になる
挑戦しなくなる
といった“学習の質の低下”を引き起こします。
つまり、ご褒美は 短期効果はあるが、長期的には学力を下げる危険性がある のです。
ご褒美教育の3つの弱点
①「わかったふり」を生みやすい
ご褒美がかかると、ミスを恐れて正直に「わからない」と言えなくなる 傾向があります。
② 学習の目的が“点数”に偏る
点数の上下だけで評価されると、「難しい問題に挑戦する価値」がなくなります。
③ 脳が“努力=苦痛”と認識してしまう
努力の先に快感がなく、「やらされ感」が強まります。
ご褒美は即効性があります。
しかし、子どもの未来の学び方を壊すリスクが高い方法でもあります。
大切なのは、やらせる教育ではなく“やる子を育てる教育” です。
BesQでは、
「成功体験」
「自分でできたという実感」
「挑戦を歓迎する雰囲気」
を重視し、ご褒美に頼らない学習設計を実践しています。
ご褒美制で悩む保護者の方も多いですが、本来のやる気は取り戻せます。
その支援を、今後も丁寧に続けてまいります。
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