“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
仁田 楓翔(BesQ 代表/講師)
「子どもが集中しない」
「すぐ飽きてしまう」
「やる気が続かない」
このような悩みは、実は“学びの入り口”で決まっているかもしれません。
脳科学では、新しい行動や刺激に対し、人の脳は“60秒以内”に「快」か「不快」かを判断するとされています。
この“初動の60秒”こそが、子どもがその後学習を継続するか、拒否するかの分かれ道なのです。
「快スタート」が学習を変える
私は日々の授業で、“最初の60秒で快を届ける” ことを非常に意識しています。
たとえば、
先生との軽い雑談から入る
子どもが答えられる「簡単な一問」で最初に成功体験を与える
好きな教科から始める
プリントを渡すときにちょっとしたユーモアを添える
など、脳が安心できる“スタートの儀式”を作るのです。
これは心理学で言う「認知的初期反応」をポジティブに誘導する技術でもあります。
「快」が自己効力感と継続意欲を生む
このような快スタートが功を奏すると、子どもは「自分でもできるかも」という自己効力感を得ます。
反対に、いきなり難しい問題、注意、プレッシャーから入ると、脳は不快を感じて拒否反応を強めてしまいます。
継続的な学びに必要なのは、「やらなきゃ」ではなく「ちょっとやってみようかな」という前向きな第一歩。
そのために、最初の60秒間で安心と楽しさを演出することが、学習指導のカギになるのです。
教育の勝負は、1分以内に始まっている
子どもの集中力を引き出したい、継続的な学習習慣をつけたいと願う保護者や教育者にこそ
この「60秒ルール」を意識してほしいと私は考えます。
学びの入口を心地よくデザインできれば、学びの出口も変わります。
教育の勝負は、1分以内に始まっているのです。



