やる気が出ないのはサボりではなく“脳の省エネ”

仁田楓翔

仁田楓翔

「やる気が出ない」は怠けではない


「やる気を出しなさい!」
子どもにそう声をかけても、なかなか動かない。

そんなとき、多くの保護者は「サボっている」と感じるかもしれません。

しかし脳科学的に見ると、それは怠けではなく“正常な脳の反応”です。

脳は、私たちが思っている以上に「エネルギーを節約したがる臓器」

常に “できるだけ考えたくない・動きたくない” という仕組みを持っています。


脳は「やらない理由」を探す生き物


人間の脳は、体全体のわずか2%の重さしかありませんが、
消費するエネルギーは全体の約20%にも及びます。

つまり、脳は非常に“燃費の悪い”臓器です。

そのため脳は、なるべくエネルギーを使わずに済むように、
「やらない理由」「後回しにする理由」を自動的に探します。

これがいわゆる“やる気が出ない”正体です。

心理学でいう「現状維持バイアス」や「認知的怠惰」も、
この脳の“省エネ機能”が原因とされています。

意志力ではなく「仕組み」で動かす


やる気が出ないときに「気合でなんとかしよう」とするのは、
脳の性質に逆らう行為です。

つまり、「意志力」で戦っても長続きしません。
では、どうすればいいか?

ポイントは、“仕組みで脳を動かす”ことです。

たとえば
机に参考書を開いた状態で置いておく(「始めやすさ」を作る)

学習時間を「短く」区切る(15分だけでもOK)

学習後に小さな達成報酬を設ける(好きな飲み物など)

脳は「最初の一歩」を踏み出すと、報酬物質であるドーパミンが分泌され、徐々に“やる気モード”に切り替わります。

つまり、「やる気が出たから行動する」ではなく、
「行動したからやる気が出る」のです。

勉強も“脳のデザイン”で続く


BesQの授業でも、「やる気を出す」よりも「やる気が出る環境を作る」ことを重視しています。

ノルマ達成型の学習設計は、脳の報酬系を自然に刺激し、
「できた!」という小さな成功体験を積み重ねることで、
生徒の自己効力感(=“自分はできる”という感覚)を育てていきます。

これは単なる勉強法ではなく、脳の仕組みに基づいた継続の科学です。

脳に逆らわず、味方につける


やる気が出ないのは怠けではなく、脳が“省エネモード”に入っているだけ。

だからこそ、「意志」ではなく「仕組み」で脳を動かす。

脳を理解すれば、やる気は“出すもの”ではなく、自然に湧き上がるものになります。





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仁田楓翔
専門家

仁田楓翔(塾講師)

BesQ

自己肯定感を育て、子どもが自ら学び始める仕組みをつくる教育。小さな成功体験を丁寧に積み重ねることで、「できない」から「できた」に変わる瞬間を設計し、やる気に頼らず成績と意欲を同時に伸ばします。

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