“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
禁止令は“万能薬”ではない
「ゲームばかりして、勉強しなさい!」
多くの家庭で一度は聞こえるこの言葉。
保護者が焦る気持ちはよく分かります。
しかし実際のところ、「ゲームを禁止にしたから勉強時間が増える」というほど、子どもの行動は単純ではありません。
ゲームを取り上げても、空いた時間に別の娯楽(動画・SNSなど)へ移ることが多く、結果的に勉強時間が増えないどころか、意欲そのものが下がることさえあります。
「禁止」は短期的には効果が見えるように見えても、長期的には“自律”を育てる妨げになりやすいのです。
データが示す「時間の質」の重要性
国内外の研究でも、ゲームやネット利用時間と学力の関係は一様ではありません。
一日中プレイするような過度な使用は確かに学力に悪影響を及ぼす可能性がありますが、
一方で「1日1時間程度の適度なゲーム」は、ストレス発散や集中の切り替えに役立ち、学習成果に悪影響を与えないという報告もあります。
つまり問題は「時間の長さ」ではなく、「時間の使い方」です。
重要なのは、限られた時間の中で “どのように集中し、どのように切り替えるか” という自己管理の力。
禁止の副作用 ― 反発と依存
禁止を強めると、かえって反発心が強まり、隠れてゲームをするケースもあります。
これは「制限されるほど価値が高まる」という心理(リアクタンス効果)によるものです。
また、禁止によって「やらされている勉強」になると、学びの主体性が失われます。
勉強時間を確保できたとしても、心ここにあらず。
それでは“机に向かっているだけ”の時間が増えるだけです。
本質は“自己調整力”と“動機づけ”
本当に大切なのは、「自分でコントロールする力」を育てることです。
時間配分・集中のリズム・優先順位——これらを本人が考え、試行錯誤することが、最終的な学力と自信につながります。
さらにもう一歩踏み込むと、「なぜ勉強するのか?」という動機づけの部分。
将来の夢や、好きな分野への興味など、内側から湧く目的意識がなければ、勉強は続きません。
これはどんなに環境を整えても、禁止令だけでは決して生まれない部分です。
家庭でできる“共育”の工夫
ゲームを悪と決めつけず、「どんな使い方ならOKか」を一緒に考えるのがおすすめです。
たとえば、
模試前の週はゲームを30分以内にする
勉強が終わったら30分だけ楽しむ
ゲーム時間を自分で申告・記録する
こうした“自己管理型のルール”は、子どもの主体性を育てます。
また、ゲームの内容を保護者が少し理解し、「どんなところが面白いの?」と会話をすることで、信頼関係も深まります。
信頼関係があれば、自然と学習面の声かけも届くようになります。
「禁止」ではなく「自立」へ
ゲームを禁止しても、勉強時間は自動的には増えません。
子どもが自分の時間をどう使うかを考える力、つまり“時間管理力”と“動機づけ”が育つ環境こそが、成績を上げるための本当の土台です。
私の塾でも、禁止や強制ではなく「やる気の仕組み」を科学的に教え、子どもたちが自ら行動を変える指導を行っています。
ゲームと勉強は、敵ではなく共存できる関係。
大切なのは、子どもを信じ、育てる視点を持つことです。
葛西の個別指導塾ならステップアップ塾 Besq



