“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
「一杯のコーヒー」が勉強モードを作る
朝、机に向かう前に飲むコーヒー。
その瞬間、頭が冴えるような感覚を覚えたことはありませんか?
カフェインには、脳内で「アデノシン」という眠気を引き起こす物質の働きをブロックする作用があります。
アデノシンが遮断されることで、神経の活動が活発化し、集中力や反応速度が上がるのです。
つまり、カフェインは「脳を覚醒させるスイッチ」でもあります。
眠気に負けそうな朝や、午後の授業前に一杯のコーヒーを飲むと、自然と集中しやすい状態に切り替わるのは、まさに脳科学的な効果と言えるでしょう。
覚醒だけでなく「整理」にも効く?
興味深いのは、カフェインが単なる“目覚まし”以上の効果を持っていること。
研究によると、カフェインは脳内ネットワークの効率性を高め、
情報を整理・統合する働きを助ける可能性が示されています。
勉強の初期段階で集中力を上げるだけでなく、
復習や問題演習の際に「記憶を再構築」するプロセスでも
ほどよい覚醒状態が効果を発揮します。
ただし、「飲めば記憶力が上がる」という単純な話ではありません。
カフェインは“脳を動かす環境づくり”のサポート役。
大切なのは、その力をどのタイミングで、どの量で使うかです。
効果を最大化する「飲むタイミング」
朝〜昼前:集中力を高めたい時間帯。1杯(100mg程度)が適量。
昼過ぎ〜夕方:眠気対策には効果的。ただし、15時以降の摂取は注意。
夜以降:睡眠ホルモンを抑制するため、記憶の定着を妨げる恐れがあります。
特に受験生の場合、「夜の追い込みでコーヒー」が習慣化すると、脳の“休む力”が低下し、翌日のパフォーマンスが下がることも。
“頑張るためのカフェイン”ではなく
“リズムを整えるカフェイン”が理想です。
カフェインとの上手な付き合い方
朝のスタートに一杯。 眠気を断ち、集中モードへ。
午後は控えめに。 コーヒーより紅茶やカフェインレスに切り替える。
夜は飲まない。 睡眠が「脳の整理時間」であることを忘れずに。
子どもには注意。 カフェイン耐性が低く、不安定な眠りを招く場合がある。
学習を支えるのは「覚醒」だけでなく「整理と休息」
カフェインはその両輪をうまくまわすための小さな味方です。
コーヒーを飲む=集中する、ではありません。
大切なのは、「自分の脳がいつ冴えているか」
「いつ休みたがっているか」を知ること。
それを感じ取る習慣こそが、効率的な学びの第一歩です。
覚醒のための一杯から、整理のための一杯へ。
カフェインと上手に付き合えば、
学びの質も、人生のリズムも、少しだけ整っていくはずです。




