“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
今年のノーベル医学・生理学賞は、日本人研究者を含む3人が受賞しました。
テーマは、免疫が“自分自身を攻撃しないように抑える仕組み”の発見です。
私たちの体の免疫は、ウイルスや細菌などの「よそ者」を攻撃して守ってくれます。でも、働きすぎると、自分の体まで攻撃してしまう「自己免疫疾患」が起きることがあります。
今回の受賞は、その暴走を防ぐ「ブレーキ役の細胞(制御性T細胞)」を見つけた功績でした。
このニュースを聞いて、私は教育現場での子どもたちの姿と重ねて考えました。
勉強や習い事では、「もっとがんばろう」「伸ばそう」という“アクセル”ばかりが注目されがちです。でも実は、子ども自身が自分を守る“ブレーキ”を持つことも、成長には欠かせない要素です。
たとえば、「間違えても大丈夫」と自分を肯定できる力。
「今は休んでもいい」と心を落ち着かせる力。
これは、免疫のブレーキと同じように、子どもが心を守り、長く学び続けるための大切な働きです。
ノーベル賞のニュースは、医学の話にとどまりません。
子どもたちの成長においても、「がんばる」だけでなく、「うまく抑える」力を育むことが大切だと教えてくれています。
私たち大人が、子どもが安心してブレーキを踏める環境をつくること――それこそが、未来の大きな力になると感じます。



