「意志力を科学する」――勉強を支える脳の燃料管理

仁田楓翔

仁田楓翔

意志力は「有限の資源」

私たちが勉強や仕事をするとき、必要になるのが意志力(Willpower)です。
心理学者ロイ・バウマイスターが提唱した「意志力の消耗理論(エゴ・デプレション)」では、意志力は筋肉のように使えば疲労し、やがて消耗すると説明されています。
「勉強を始める」「スマホを見ない」「難問に挑む」

こうした行動はすべて意志力を消費し、蓄えが減るほど集中や判断が難しくなります。

意志力と血糖値の関係


近年の脳科学と栄養学の研究は、意志力の持続を左右する要因のひとつとして血糖値を挙げています。
脳の主なエネルギー源はブドウ糖であり、血糖値が安定していると脳の判断力・集中力が維持されます。逆に、血糖値が急低下すると「やる気が出ない」「集中が続かない」といった状態に陥ります。

高GI食品がもたらす「集中力クラッシュ」

白砂糖や菓子パン、ジュースなどは高GI食品に分類されます。これらは急激に血糖値を上昇させますが、その後インスリン分泌により急降下を招きます。この変動は脳へのエネルギー供給を不安定にし、短時間で疲労感や眠気、集中力低下を引き起こします。
特に試験勉強や受験期には、この“集中力クラッシュ”が学習効率を大きく下げる原因になります。

低GI食品が意志力を守る


血糖値の急変動を避けるためには、低GI食品を摂取することが推奨されます。低GI食品は血糖値をゆるやかに上げ、長時間安定させるため、意志力の持続に効果的です。
例としては以下があります。

果物(リンゴ、ベリー類、柑橘類)

ナッツ類(アーモンド、くるみ、カシューナッツ)

全粒オートミールや全粒パン

ヨーグルト(無糖)

これらは勉強の合間や朝食に取り入れることで、脳の燃料供給を安定化できます。

意志力は食事でも守れる


意志力は単なる「根性」や「やる気」ではなく、脳が安定したエネルギーを得てこそ最大限に発揮されます。
低GI食品をうまく取り入れることは、勉強の効率を高め、最後まで集中を切らさないための“戦略”です。
次に机に向かうときは、机の片隅に小さなフルーツやナッツを置いてみましょう。それが、長時間の集中力と持続するやる気への第一歩になります。

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仁田楓翔
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仁田楓翔(塾講師)

BesQ

自己肯定感を育て、子どもが自ら学び始める仕組みをつくる教育。小さな成功体験を丁寧に積み重ねることで、「できない」から「できた」に変わる瞬間を設計し、やる気に頼らず成績と意欲を同時に伸ばします。

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