“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
なぜ子どもは集中できないのか?
「うちの子、全然集中できなくて…」
これは保護者の方から頻繁に寄せられる相談のひとつです。
しかし、「集中できない=本人のやる気や性格の問題」と決めつけてしまうと、かえって状況は悪化するかもしれません。
脳科学や発達心理学の研究からは、集中力とは“整えるべき環境と習慣”によって支えられる力であることが分かっています。
つまり、集中力が続かないのは、本人の能力や性格のせいではなく、「集中しづらい状態になっている」ことが原因なのです。
「時間」のマネジメントが集中力の鍵
◎ 集中できる時間帯には“ゴールデンタイム”がある
集中力をコントロールするのは、脳の前頭前野。
ここは疲労やストレスに弱く、時間帯によってパフォーマンスが変わります。
多くの研究では、集中力が最も高まるのは朝〜午前中。夕方以降は脳のリソースが低下し、思考の柔軟性や注意の持続力が落ちることが分かっています。
◎ 集中を生み出す時間の設計例
タイミング 推奨する活動
起床〜午前中 暗記、音読、計算などの基礎学習
学校帰宅直後 宿題、復習、短い問題演習
夜の時間帯 振り返り、ノート整理、読書など
さらに、「50分学習+10分休憩」や
「ポモドーロ・テクニック(25分+5分)」などの“リズム学習”も、集中を持続させるのに効果的です。
「健康」は集中力の燃料
◎ 脳は“エネルギー消費が激しい”臓器
脳は、全身のエネルギーの約20%を消費する働き者。
集中力を維持するには、脳が「燃料切れ」にならないよう、
体の状態を整えることが重要です。
◎ 集中力を支える3つの健康習慣
十分な睡眠
中学生で8時間以上、高校生でも7時間は必要。睡眠不足は集中力・記憶力の低下を招きます。
朝食の栄養バランス
糖質(ごはん・パン)とたんぱく質(卵・納豆・チーズ)をセットにすることで、脳に安定したエネルギー供給が可能に。
水分と軽い運動
水分不足や運動不足も集中力を奪います。朝のストレッチや散歩も、脳の覚醒に効果的です。
「集中力を育てる環境」はつくれる
「集中力がない」と嘆く前に、次の3点を見直してみてください。
集中しやすい時間帯に勉強しているか?
長時間やらせすぎていないか?(休憩を挟んでいるか?)
睡眠・食事・水分など、体の状態は整っているか?
これらを整えるだけで、子どもの集中力は驚くほど変わります。
環境を変えれば、子どもは変わる
教育の現場では、「集中できない子」だった生徒が、
時間設計や学習環境を変えることで
“驚くほど学習に取り組むようになった”という例を何度も見てきました。
例えば、当塾BesQでも「まずは朝に5分だけ暗記練習しよう」と時間帯をずらしただけで、記憶の定着が格段に良くなった生徒がいます。
集中力とは、“才能”ではありません。
正しい設計と習慣があれば、誰でも高められる力です。
集中は“気合”ではなく“仕組み”で伸ばせる
「時間帯」と「休憩設計」を意識しよう
脳にエネルギーを供給する生活習慣がカギ
学習成果は、意志の強さではなく、土台の整え方で決まります。
まずはできるところから、集中できる“環境”を整えてみてください。



