「覚えられない」は脳のせい?──“意味記憶”と“エピソード記憶”から見る、記憶のコツ

仁田楓翔

仁田楓翔

「英単語が覚えられない」
「歴史の年号がすぐに飛ぶ」
こんな悩み、ありませんか?

でも、それは“記憶力が悪い”せいではありません。
実は、脳の記憶の仕組みを知らないまま、効率の悪いやり方を続けているだけなのです。


意味記憶 vs エピソード記憶

人間の記憶には、大きく分けて以下の2つのタイプがあります。

意味記憶(Semantic Memory)
→ 単語の意味、歴史の年号、数学の公式など、「知識」として整理された記憶
例:「鎌倉幕府ができたのは1185年」

エピソード記憶(Episodic Memory)
→ 実際の体験や、感情と結びついた出来事の記憶
例:「修学旅行で鎌倉に行ったとき、先生が“1185年!”と叫んでいた」

この2つ、どちらが長く記憶に残るかというと……
圧倒的に“エピソード記憶”です。


なぜ“エピソード”の方が記憶に残るのか?


人間の脳は、「感情」や「体験」と結びついた情報を重要だと判断し、海馬という部位を通じて長期記憶に保存します。

逆に言えば、「ただ覚えようとした情報(=意味記憶)」は、繰り返さないとすぐに忘れます。
脳にとっては「重要かどうかわからない情報」だからです。

勉強にどう活かす?3つの工夫


① 情景や感情とセットで覚える
→ 英単語「delicious(おいしい)」を覚えるなら、
「昨日食べたラーメン、めっちゃdeliciousだった!」とイメージをつける。

② 自分の体験に置きかえる
→ 歴史の事件を、ドラマや映画のように“自分が見ていたら…”と想像する。

③ 誰かに話す・教える
→ 「あの授業で先生が言ってたあれ、覚えてる?」と会話することで、記憶が定着。

勉強は“知識を体験に変える”作業

記憶力を高める最も効果的な方法は、
“感情・体験・意味”を結びつけることです。

「ただの知識(意味記憶)」を
「自分だけのエピソード(エピソード記憶)」に変える。

このコツさえ意識すれば、誰でも記憶力を伸ばすことができます。
大切なのは、「どう覚えるか」ではなく、「どう経験するか」なのです。

教育の現場から伝えたいこと


私は、学習心理と脳科学をベースに指導してきた中で、
“やる気がない”と思われていた子どもたちが、体験的な学びを通じてどんどん変わっていく姿を見てきました。

学ぶことは苦しいことではなく、
「体験の積み重ね」であり、
「自己を知る旅」です。

もしあなたが勉強で悩んでいるなら、
「記憶の仕方」を一度見直してみてください。
きっと、違う景色が見えてくるはずです。

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仁田楓翔
専門家

仁田楓翔(塾講師)

BesQ

自己肯定感を育て、子どもが自ら学び始める仕組みをつくる教育。小さな成功体験を丁寧に積み重ねることで、「できない」から「できた」に変わる瞬間を設計し、やる気に頼らず成績と意欲を同時に伸ばします。

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