“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
なぜ「覚えたはずなのに思い出せない」のか?
多くの子どもが「覚えたはずなのにテストで思い出せなかった」と悩みます。
それは記憶力の問題というより、「情報の整理・圧縮がうまくできていない」ことが原因です。
脳は「短くて意味がはっきりした情報」を覚えるのが得意です。
一方で、ダラダラと長く書いたノートや、漠然とした文章は記憶には残りにくい傾向があります。
学習効率を高める「ワンビッグメッセージ」とは?
そこでおすすめしたいのが、「ワンビッグメッセージ(One Big Message)」という学習法。
これは、学んだ内容を一文にまとめる習慣です。
その単元・トピックを「一言で言うと?」と問いかけ、曖昧な言葉を削ぎ落として明快に表現することが目的です。
たとえば、
歴史:「鎌倉幕府って何だった?」→「武士が政治を始めた最初の政府」
英語:「willとbe going toの違いは?」→「will=今決めた、be going to=前から決めてた」
このように表現することで、情報が“知識”として脳に残りやすくなります。
「ワンビッグメッセージ」で記憶と理解が深まる理由
脳科学の観点からも、短く要約された情報は「チャンク(意味のかたまり)」として記憶に残りやすいことがわかっています。
さらに、自分の言葉で要約しようとすると、
何が重要かを考える
他の情報とつながりを持たせる
思考が整理される
といった深い認知的処理が起こり、単なる暗記よりもはるかに記憶定着率が高くなります。
家庭や塾で今すぐ使える実践例
以下は、家庭や指導現場で「ワンビッグメッセージ」を取り入れる簡単な方法です。
家庭でできる声かけ
「今日の授業、何を一番伝えたかったの?」
「このプリント、一言で言うとどういう話?」
ノートの使い方
1ページの下に「ワンビッグメッセージ欄」をつくる
(例:今日のまとめは「比例=一直線で通る関係」)
塾・教室での導入
授業の終わりに「5語以内でまとめてみようチャレンジ」
まとめ――学力を伸ばすのは“まとめる力”
「ワンビッグメッセージ」は、記憶を助けるだけでなく、自分の頭で考え、意味のある学びに変える力を育てます。
学力とは「知識の量」だけでなく、「情報を扱う力=要約力・整理力」。
この力を身につけることで、テストにも、将来の仕事にも強くなれるのです。



