“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
「数学が苦手」は本当の理由?
「数学の文章題が苦手で…」という相談は、保護者の方から非常によく聞く言葉です。
BesQにも、「文章題になると手が止まる」
「文章が長くなると意味が分からない」と悩む生徒がたくさん来ています。
一見すると「数学の問題が難しいから」と思われがちですが、実はそうとは限りません。
問題をよく読ませてみると、計算自体はできるのに、問題文の意味を正しく理解できていないことが多いのです。
例題に見る“つまずき”の正体
たとえば、次のような文章題があります。
例題:
文化祭の準備で机を並べます。1列に8個並べると3個余り、1列に9個並べると2個足りません。机は全部で何個あるでしょうか?
この問題に対して、「え?余ってるのに足りないってどういうこと?」と混乱してしまう生徒は少なくありません。
それは、問題文の中にある“条件”を整理しきれず、情報の関係がイメージできていないためです。
つまり、「計算以前の“読む力”」でつまずいているのです。
文章題につまずく子に共通する力の不足
数学の文章題で必要なのは、単なる計算力ではありません。
必要なのは、次のような力です。
問題文を丁寧に読み、状況をイメージする力
数字と単位、条件を論理的に整理する力
それを図や表、式に変換する力
この力は、国語の「長文読解」とはまた違った、情報処理・構造把握・要約の力とも言えるものです。
BesQでは、問題文をいきなり解かせるのではなく、図に描く・言葉に言い換える・矢印でつなぐなど、“読むための力”を育てるステップを重視しています。
読むことから始める「数学の楽しさ」
「数学が苦手」と言っている子どもの多くは、実は“読むこと”でつまずいています。
でも、「読めたら分かった」「整理できたら解けた」と自信をつけていく生徒はたくさんいます。
数学は、読み解くことから始まる“言語的な教科”でもあるのです。
お子さまが文章題で立ち止まっているとき、「どこが計算できないのか」ではなく、「どこから読めていないのか」に目を向けてみてください。
意外な“苦手の正体”が見えてくるかもしれません。



