“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
「スタンディングデスク」をご存知でしょうか。
その名の通り、“立ったまま”作業や勉強を行うための机のことです。
もともとはビジネスパーソンの健康意識から火がつき、長時間座り続けることで生じる腰痛や肥満リスクの対策として注目されました。
近年ではGoogleやMeta(旧Facebook)などの企業でも社内導入が進んでおり、働き方の一つとして広まりを見せています。
しかし、注目すべきは「健康効果」だけではありません。
実は「脳」にも良い影響があるというのです。
テキサスA&M大学の研究チームが行った実験では、スタンディングデスクを使用した小学生の作業効率が、通常の座学に比べて12%向上したという結果が報告されています。
これは1時間の授業でおよそ7分間の集中力アップに相当します。
ほんの数分かもしれませんが、日々の学習の積み重ねを考えると決して小さな差ではありません。
この背景には、立つことで「前頭前野」の血流が促進されるという説があります。
前頭前野は、集中力や記憶力、判断力などを司る“脳の司令塔”ともいえる場所です。
つまり、立つことによって、脳の「実行機能」が活性化されやすくなるのです。
子どもたちの学習環境を考えるとき、つい「教材の工夫」や「指導方法」に目が向きがちですが、
「姿勢」や「身体の状態」にも目を向けることで、より効果的な学びが得られるのかもしれません。
実際、私の運営する教室でも、集中が難しい子には“立って勉強してもいいよ”と伝えるだけで、ぐっと能率が上がることがあります。
大人でも、立って電話をかけたり、歩きながら考え事をしたりすることがありますよね。
それと同じことが、子どもたちの脳にも起きているのだと感じます。
これからの時代、「座ってじっとしていなさい」よりも、「自分に合ったスタイルで学ぶ」方が、子どもたちの可能性を引き出す鍵になるのかもしれません。



