“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
「社会って何の役に立つの?」に、どう答えるか
~嫌いなことにも意味があると知る学び~
「先生、社会って何のためにあるの?」「将来使わないのに覚える意味ある?」
これは、生徒からよく投げかけられる質問です。
確かに年号や制度、条約の名前を覚えるだけでは、役に立たないようにも感じるかもしれません。
でも、社会科の本質は「暗記」ではなく、人と人がどう生きてきたか、その道のりを知ることにあります。
たとえば、なぜ戦争が起きたのか。
なぜ法律ができたのか。
なぜ今の暮らしがあるのか。
こうした問いをたどっていくと、そこには「人間の失敗と知恵の集積」があります。
社会は、人類の“試行錯誤”を学ぶ教科とも言えるのです。
社会は「正解」よりも「問い」をくれる教科
社会科の魅力は、出来事の“背景”に触れられること。
「なぜそうなったのか?」
「もし違う選択をしていたら?」
と、原因や視点を変えて考える力を育ててくれます。
それは、他人を理解したり、対立を避けたりする上でもとても大切な力です。
「好きじゃないこと」とどう向き合うか
もちろん、すべての子どもが社会科を好きになるとは限りません。
誰にでも、得意・不得意、好き・嫌いはあります。
でも、社会に出ると「嫌いだからやらない」とは言えない場面が必ずやってきます。
学校での勉強には、「将来使う/使わない」だけでなく、
“好きじゃないこととどう向き合うか”を学ぶ意味もあるのです。
社会が苦手な子が、それでも考えたり頑張ったりする経験は、
いつか仕事や人間関係において、「逃げずに向き合える力」につながっていきます。
社会科は、“過去の人の生き方”を通して、“これからの自分の生き方”を考える時間です。
答えのない時代に、問いを持ち、考え続ける力を育てる。
そのための第一歩が、たとえ苦手でも「ちょっとだけ頑張ってみる」ということかもしれません。



