“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
~具体と抽象の往復が、社会で活きる“言語の筋力”を鍛える~
現代文の試験でよく見かける設問に、
「この言葉はどういうことか、あなたの言葉で説明しなさい」
というものがあります。
一見すると、「ただ本文の内容をなぞって答えるだけの問題」に見えるかもしれません。
しかし、これは単なる知識確認ではなく、
抽象的な表現を具体的に言い換える能力=“概念を理解し、使いこなす力”を測る、極めて重要な問いです。
なぜ「具体と抽象」を行き来する力が必要なのか?
現代社会は、情報があふれ、複雑な課題が山積する時代です。
そんな中で求められるのは、ただ情報を受け取る力ではなく、「読み取り」「整理し」「言語化する力」。つまり、論理的思考力です。
たとえば職場や家庭でも、
「なぜそう思うのか?」
「その選択にどういう理由があるのか?」
「もっといい方法はあるか?」
と、理由や背景を求められる場面は日常的にあります。
現代文の「説明せよ」問題は、まさにその訓練の縮図。
文章の要点をつかみ、相手に伝わるように再構築する——これはビジネスでも教育でも通用する“言語の筋力”を育てる営みなのです。
「感覚」で読む子を、「論理」で考える子へ
「国語はセンスだ」「感覚で読めば何となくわかる」と言われることもありますが、現代文の力は論理力であり再現可能な技術です。
特に「説明せよ」型の問題では、本文のどこをどう読み、どう言い換えるかという“思考のプロセス”が問われます。
これを意識して取り組むことで、主観に頼らず根拠を持って意見を述べる力が身につきます。
その力は、他者との議論や意見交換、さらには自己表現にもつながります。
つまり、現代文の学びは「社会で信頼される力」の土台になるのです。
現代文の「説明せよ」問題は、
「国語」だけでなく「社会で使える言語スキル」のトレーニング。
論理的に考える力
相手に伝わるように話す力
自分の意見を言葉で支える力
これらを伸ばす最高の素材として、ぜひ現代文を見直してみてください。



