“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
「信頼できる人になってほしい」と願うのは、どの親も変わらぬ思いではないでしょうか。
しかし“信頼”とは、学力やスキルだけではなく、日々の言動や態度、つまり「人格」そのものからにじみ出るものです。
近年、世界の教育現場では中高生への教育方針において、2つの大きな流れがあるとされています。
それが「ボトムアップ式教育」と「プルアップ式教育」です。
ボトムアップ式教育:日本型の全体底上げ方式
日本をはじめとする多くの国で採用されているのは、ボトムアップ式。
これはすべての子どもを一定の学力・生活習慣に導くため、均一で安定したカリキュラムを提供する方式です。
公平性が高く、広く一定水準を保つ点が強みですが、その一方で、個人の特性や価値観が埋もれやすいという課題もあります。
プルアップ式教育:エリート育成による社会牽引モデル
一方、欧米の一部や新興国の都市部で見られるのが「プルアップ式」。
これは少数の才能ある子どもを特別な環境で教育し、将来のリーダーとして育てる方式です。
社会全体のレベルアップを、その“牽引者”に委ねるスタイルといえます。
プルアップ式では「人格」や「社会的責任感」も重視され、単なる成績優秀者ではなく、「信頼される人物」であることが求められます。
教育の目的は“人として信頼される”こと
では、私たちはどのような教育を目指せばよいのでしょうか。
大切なのは、どの方式であれ、最終的には「人格の成熟」が基盤であるという視点です。
知識やスキルは、時代とともに変わります。
しかし、誠実さ・他者への配慮・責任感・感謝の心といった人格的な資質は、時代を超えて人を支えます。
子どもに教えたい、信頼される“ふるまい方”
日々の生活で「ありがとうを言おう」「約束を守ろう」「悪口を言わない」といった基本的な行動を繰り返すことが、信頼という“無形の財産”を育てていきます。
成績が良いだけでは、社会で本当に頼られる人にはなれません。
むしろ、相手を思いやる力や、誠実な姿勢こそが、周囲から「この人に任せたい」と思われる信頼の源になるのです。
これからの教育においては、どのような道を選ぶにせよ「信頼される人間力」を育てることが、子どもたちの人生に最も確かな支えとなるでしょう。
私たち大人が、まず「信頼される生き方」を見せること。
それが、子どもたちへのいちばんの教育になるのかもしれません。



