“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
文部科学省の最新調査によれば、
2022年度における不登校児童生徒数は過去最多を更新し、中学生のおよそ10人に1人が年間30日以上登校できていないというデータが報告されています。
もはや「不登校」は特殊な状況ではなく、ごく一般的な“学びの形の一つ”として向き合う必要があります。
不登校とは、「自分を責め続ける状態」である
私たちが支援する現場で日々痛感するのは、不登校の子どもたちの多くが“怠けたい”のではなく、
“行きたいけれど行けない”苦しみの中にいるということです。
周囲の「どうして行けないの?」という無意識の視線が、子どもたちに自己否定感や罪悪感を植えつけ、それがさらなる不登校の長期化を招きます。
これは、単なる“登校の有無”の問題ではなく、
本人の自己効力感(自分には価値があるという感覚)をいかに守るかという、心理的課題なのです。
「学びたい」という意欲は、生き続けている
不登校の子どもたちは、学校に行けなくても「学びを拒否している」わけではありません。
むしろ、安心できる環境と、無理のないペースさえ整えば、再び学びに向かう力を持っています。
たとえば、オンライン家庭教師や完全個別対応型の学習塾では、
他人の視線にさらされず
学びのペースや方法を選ぶことができ
「わかる」「できる」という小さな成功体験を積み重ねられる
こうした場が、“学び直し”ではなく、“自分を取り戻すプロセス”として機能します。
子どもの“復帰”を焦らず、大人が環境を整えること
重要なのは、「何もしないこと」でも「急かすこと」でもなく、“学びを止めない”という選択肢をさりげなく提示することです。
そのために、私たち大人ができるのは以下の3つです。
否定しないこと:「行かなくていい」ではなく、「あなたにはあなたのペースがある」と伝える
代替の学びを知ること:通信教育やオンライン授業など、“学校以外の学び”の選択肢を把握する
自己肯定感を支えること:できたことを認め、小さな達成を一緒に喜ぶ
「その子らしさを取り戻す場所」は、学校だけではない
私たちが運営する「ステップアップ塾BesQ」や「オンライン家庭教師BesQ」でも、
不登校の生徒が少しずつ心を開き、学びに戻っていく姿を何度も見てきました。
それは、“勉強”ではなく、“信頼関係”から始まる学びです。
不登校とは、「逃げ」でも「負け」でもありません。
それは、今の社会や学校の枠組みに対する「違和感」を自らの感性でキャッチした結果とも言えます。
必要なのは、「戻すこと」ではなく、
その子が自分らしく“前に進む選択肢”を持てるよう支えること。
子どもがもう一度、学び出すために。
私たち大人の理解と柔軟さが、いま何よりも求められています。



