“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
「苦手を克服する」勉強こそ、脳がいちばん成長する瞬間
人によって勉強の得意・不得意はあります。
数学の計算が得意な子もいれば、英語の単語を覚えるのが苦手な子もいます。
特に、苦手科目の勉強というのは「やる気が出ない」「手が止まる」といった心理的ハードルがあり、モチベーションが維持しづらいという悩みを持つ保護者・生徒も多いのではないでしょうか。
ですが実は、苦手を克服しようとする学習こそ、脳の記憶システムが最も活性化されるタイミングなのです。
苦手なことに挑戦すると「ドーパミン」が分泌される
人間の脳は、「できなかったことが、少しずつできるようになる過程」でドーパミンという神経伝達物質を分泌します。
ドーパミンは“やる気”や“快感”をつかさどる脳内物質で、達成感を感じたときに脳内報酬として出るものです。
つまり、たとえ勉強が苦手でも、
「ちょっと解けた」「わかってきたかも」といった小さな前進があるだけで、
脳は「もっと知りたい!」「次もできるかも!」という自己強化モード(強化学習)に切り替わるのです。
苦手科目こそ“得意”になるチャンス
実際に私が運営するBesQでも、
英語が苦手だった生徒が、半年でクラス上位に
計算ミスばかりだった子が、「算数好き!」と言うまでに変化
といった事例が多数あります。
これは、苦手だからこそ成功体験のインパクトが強く、記憶にも残りやすいという、脳のしくみによるものです。
“最初から得意”だった分野よりも、
“努力で乗り越えた”分野のほうが、本人の自己効力感(=自分はできるという感覚)を大きく育ててくれるのです。
苦手な教科を伸ばす3つのポイント
「できた!」を実感できる設計をする
いきなり難しい問題から入らず、達成しやすいステップを用意することでドーパミンが出やすくなります。
継続できる環境を作る
勉強が日常の一部になるよう、定時・定量の学習リズムを意識すると、モチベーションが維持しやすくなります。
苦手を責めず、変化を称賛する
「前よりできるようになったね」「今日はここまで進んだね」と、成長の過程に焦点を当てて声かけすることが重要です。
「苦手=伸びしろ」こそが、教育の醍醐味
苦手な科目に向き合うことは、本人にとって大きな挑戦です。
ですが、だからこそそれを乗り越えたときに、他の何倍もの達成感と自信が得られます。
勉強は「得意な教科を伸ばすこと」も大切ですが、
本当に人生を変えるのは、苦手に挑戦したときです。
教育とは、その“苦手の裏にある力”を信じ、伴走すること――
それこそが、私が大切にしている学びの姿勢です。



