成績アップには“仮眠力”がカギ?勉強に効く昼寝テクニック

仁田楓翔

仁田楓翔

― 思考を切り替える“最短の知的リセット法” ―


現代人の脳は、休む間もなく働き続けています。
仕事中に資格の勉強を重ねたり、学生ならば授業に加え
部活動やSNSと、思考のスイッチは常に「オン」の状態にあります。

このような持続的な認知活動は、脳の特定部位を集中的に使用することにつながり、神経系の過活動を引き起こします。
実際、長時間の集中は前頭前野の血流と血圧を上昇させ、パフォーマンス低下や判断ミスを招くことが、脳波や血流計測の研究で明らかになっています。


脳は「休息」を前提に設計されている


人間の脳は、一定の覚醒状態を保つために、定期的なリセット機能(休息や切り替え)を必要とします。
スタンフォード大学の神経科学者クリストファー・ムーアらの研究では、短時間の仮眠(ナップ)は脳の神経活動を沈静化させ、認知柔軟性を回復させることが示されました。

特に、10分〜15分程度の「パワーナップ(Power Nap)」は、

集中力の維持

ミスの予防

情動の安定

に効果があり、航空管制官や医師など、高ストレス職でも導入されているほどです。


なぜ“10分”なのか?


睡眠は段階的に深くなる性質があり、20分以上の仮眠では寝起きのだるさが出やすいことが分かっています。
一方で、10分程度の軽い仮眠はノンレム睡眠の初期段階にとどまり、覚醒後の認知機能を迅速に回復させるという研究(NASA、2003)があります。

つまり、「短く・浅く」寝ることこそが、思考の切り替えには最適なのです。

切り替えない脳は、やがて壊れる


もし脳のオンオフがうまくできないまま、思考を続けると

・ 局所的な過活動によって血圧が慢性的に高くなり、
・常に緊張が続いて副交感神経が働かなくなり、
・ 結果として睡眠障害やパニック症状を引き起こすリスクが高まります。

現代ではスマホや情報の洪水により、私たちの「思考オフ」の時間は極端に減っています。
その意味で、10分間の昼寝は単なる「眠気覚まし」ではなく、脳の健康を守る戦略的な休息なのです。

「昼寝」は、努力の中断ではなく、努力の一部である


「寝てしまったらサボりだ」と思う方もいるかもしれません。
しかし、意識的に脳を“止める”ことは、次の集中のための準備です。

わずか10分の静かな時間が、あなたの思考をクリアにし、心を安定させ、
次の行動を、よりしなやかで、建設的なものへと変えてくれるでしょう。

10分間の昼寝は、
疲労を感じた脳への“救済策”であり、
思考を切り替えるための“最短リセット”であり、
現代人が生き抜くための“知的サバイバル術”です。

「眠る」という選択を、もっと賢く使いこなしてみてはいかがでしょうか?

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

仁田楓翔
専門家

仁田楓翔(塾講師)

BesQ

自己肯定感を育て、子どもが自ら学び始める仕組みをつくる教育。小さな成功体験を丁寧に積み重ねることで、「できない」から「できた」に変わる瞬間を設計し、やる気に頼らず成績と意欲を同時に伸ばします。

プロのおすすめするコラム

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

生徒のやる気を引き出し、自信と心を育てる塾講師

仁田楓翔プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼