“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
――脳科学に裏打ちされた「成功のイメージトレーニング」――
「なりたい自分を、先に思い浮かべてください」
そう言われて、あなたはどんな自分を想像しますか?
・志望校に合格して笑っている自分
・プレゼンで拍手喝采を浴びている自分
・英語をスラスラ話している自分
・子どもの成績が上がって喜んでいる親としての自分
――この“想像力”、実はただの気休めではありません。
脳科学の世界では、「先にイメージすること」こそが、行動と成果を変える大きな鍵になるとされているのです。
観念運動現象(Ideo-Motor Effect)とは?
脳には、「イメージしたこと」と「実際に体験したこと」を部分的に区別できないという性質があります。これを心理学では「観念運動現象(Ideo-Motor Effect)」と呼びます。
たとえば、以下のような実験が知られています。
目を閉じて、「レモンを切る→かじる→酸っぱい」と強くイメージしただけで、口の中に唾液が出る。
これと同様に、「うまくいった未来の自分」を繰り返しリアルにイメージすることで、脳が“それに近づくような指令”を無意識に出しはじめるのです。
つまり――
「先に成功した自分を思い描くこと」=「脳に理想的な行動パターンを刻むこと」
と言い換えることができます。
科学的にも効果が証明されている
実際、アスリートの世界ではこの理論が当たり前のように活用されています。
・オリンピック選手が「競技前にゴールを決めた感覚をイメージする」
・ピアニストが「指を動かすイメージだけで練習する」
・医療現場でも「術前に成功の手順を想像すること」で成功率が上がるとされる
これらの事例は、「脳の準備運動」が現実の成果に結びつくことを示しています。
教育や自己成長にも同じことが言えます。
勉強や仕事においても、「理想の自分」「うまくいった未来の状態」を脳に先取りさせることで、迷いのない行動、集中力、継続力が生まれやすくなるのです。
イメージを“リアル”にする3つのコツ
では、どうすればこの“観念運動”を効果的に使えるのでしょうか?
以下の3つのポイントが有効です:
五感を使って想像する
→ どんな音が聞こえるか?どんな景色か?周囲の人の反応は?
達成のプロセスもイメージする
→ ゴールだけでなく、「どんな努力をしている自分か」を想像することで、現実的な行動に落とし込めます。
継続してイメージする時間をつくる
→ 1回では効果は限定的。毎日数分の「未来の自分との対話」が効果を高めます。
自分の「未来」を、今の自分に教えてあげよう
子どもも大人も、「うまくいかない自分」ばかりを見ていると、脳は“うまくいかない前提”で行動しはじめます。
反対に、「できるかも」「なれそう」と思えた瞬間から、脳のスイッチは切り替わります。
私が教育現場で指導する中でも、
「まずは“未来の自分をイメージする”ことから始めよう」と声をかけた生徒ほど、
不思議なくらい自分で行動を起こし、結果を出していく姿を多く見てきました。
“思い描けた未来”だけが、現実になる。
その第一歩は、あなたの頭の中にあります。
さあ、今日からイメージしてみましょう。
「なりたい自分になっている自分」を。



