“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
「好き」を深めるだけでは足りない?
現代の教育現場では、子どもが何に「熱中」できるかが注目されています。もちろん、何か一つの分野を極めることは素晴らしいことです。しかし、実は幅広い興味を持つことが、学びをより深く・創造的にする鍵であることは、脳科学や教育心理学の分野でも明らかになってきています。
「興味の幅」が“洞察力”を育てる
たとえば、ある研究(Harvard大学・Howard Gardner博士の「多重知能理論」)では、人間の知性は論理・言語だけでなく、空間認識、身体感覚、自然観察など多様な領域にまたがっていると示されています。つまり、「科学が得意」な子も、「絵本が好き」「動物に詳しい」「図鑑を読むのが好き」といった“横の関心”を広げることで、より深い理解や新しい発想を得られるのです。
成績向上にも“幅”が関係する?
日本のある調査(東京大学社会科学研究所×ベネッセ教育総合研究所の共同研究)によると、「家庭での読書経験が豊富な子どもは、学力だけでなく自己肯定感・学習意欲も高い傾向」が見られたとされています。
ここでのポイントは、“特定ジャンル”に限らないこと。幅広いジャンルの本に触れた子どもほど、文章理解力や論理的思考力に優れているという結果が出ています。
BesQ/サイエンスゲーツ東葛西教室の取り組み
BesQグループが運営する「ステップアップ塾BesQ」および「サイエンスゲーツ東葛西教室」では、この「興味の幅」の重要性に注目し、教室に本棚を設置・本のリクエスト制度を導入しています。
生徒一人ひとりが読みたい本を自由にリクエストできる仕組みとし、科学絵本、歴史まんが、図鑑、哲学入門書、ミステリー、ことば図鑑など、ジャンルを問わず幅広く揃えています。
「好きな本に出会ったことで、科学への関心が育った」
「自分がリクエストした本を教室に置いてくれたのが嬉しかった」
こうした声が、子どもたちの自発的な学びの連鎖を生んでいます。
“寄り道”こそ、未来の力になる
今の社会は、変化が早く、正解が一つではない時代です。
だからこそ、一つの専門性だけでなく、複数の視点を持つことが「問題解決力」や「創造力」の源になります。
「なぜ空は青いのか?」から「動物の目の構造」へ、「電気って何?」から「歴史上の発明家」へ――
一見、関係のないように見える「興味の横展開」こそ、子どもの学びにとっての最大の推進力になるのです。
教室に“図書館のような出会い”を
BesQグループの教育理念は、「自己肯定感と探究心を育むこと」。
そのための第一歩として、「好き」が自由に広がる場=本との出会いの場を、すべての教室に整備しています。
本を通じて、自分の世界が広がる。
その小さな出会いが、未来の“気づき”や“ひらめき”を生むきっかけになる――
私たちは、そう信じて取り組んでいます。



