なぜスティーブ・ジョブズは毎日同じ服を着たのか?──「意志力の節約」が学びを支えるという話

仁田楓翔

仁田楓翔

スティーブ・ジョブズといえば、黒のタートルネックにジーンズというスタイルがトレードマークでした。
アップルの製品発表会でも、街中でも、常に同じ服。あれはただのこだわりやファッションではありません。
そこには、彼の「意志力」を守るという明確な戦略がありました。

意志力とは、“決断するたびに削られていくエネルギー”


心理学者ロイ・バウマイスターが提唱した「意志力の消耗理論(エゴ・デプレション)」によれば、人間の意志力は筋肉のように使うたびに消耗する有限な資源だとされています。

「朝ごはんは何にするか」
「先に数学か、英語か」
「LINEを返すか、放っておくか」
こうした小さな判断を重ねるだけで、脳の意志決定エネルギーは確実に減っていきます。

その結果、午後になると「めんどくさい」「まあ今日はいいか」が増え、夜には集中力が切れ、甘いものやスマホに手が伸びやすくなる。
これは意志が弱いのではなく、脳の設計として自然なことなのです。

ジョブズの黒い服は“選ばないための選択”


スティーブ・ジョブズは、自らの限られた意志力を本当に重要な意思決定
——製品設計や経営判断、創造的思考など——に使いたいと考えていました。
だからこそ、「毎朝、何を着るか」という決断そのものをルーティーン化し、1日の最初に意志力を消耗しないようにしたのです。

これは彼に限った話ではありません。
Facebookのマーク・ザッカーバーグも毎日同じグレーのTシャツを着ていますし、オバマ元大統領も「私はグレーか紺のスーツしか着ない」と語っています。

子どもにとって「勉強するかどうか」は、強い意志を要する判断


この話は、教育現場においても極めて示唆に富んでいます。
子どもたちが放課後に「勉強するかどうか」を考えること自体が、既に多大な意志力を要する行動なのです。

部活や習い事のあと、疲れた頭で「やろうかな、どうしようかな…」と迷った瞬間、意志力はすでに大きく削られています。
だから「ついYouTubeを開いてしまった」「やる気が出なかった」というのは、意志の弱さではなく、環境設計のミスなのです。

BesQが取り入れている「意志力を守る学びのデザイン」


私たちBesQでは、「がんばらせないのに、なぜか成績が上がる」という状態を目指して、意志力に依存しない学習環境を整えています。

たとえば:

学習ノルマを個別に設定し、毎回の「何をやるか」に迷わせない

時間ではなく「できたかどうか」で学習を区切る(完了基準型)

毎回同じ流れのステップで学ぶことで、習慣化されたルーティーンを確立する

成功体験の積み重ねで「やればできる」という感覚(自己効力感)を育てる

これにより、子どもたちは「やるべきかどうか」を判断する必要すらなくなり、自然と“学びモード”に入っていけるのです。


「意志力が強い子」を育てるのではなく、「意志力がいらない仕組


勉強が続かない理由は、意志が弱いからではありません。
「判断に迷う余白が多すぎるから」「意志力を削る要素が多すぎるから」です。

スティーブ・ジョブズのように、服装ひとつをルーティーン化してでも創造性を守ろうとしたように、
子どもたちの学びにも、「迷わせない設計」があっていいはずです。

意志力に頼らなくても、続けられる。
がんばらなくても、伸びていける。

BesQではこれからも、「がんばらせないけれど、伸びていく」教育を実現するために、脳科学・心理学の知見を活かした仕組みづくりを続けていきます。

葛西の塾ならステップアップ 成績UPの最後のとりで

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仁田楓翔
専門家

仁田楓翔(塾講師)

BesQ

自己肯定感を育て、子どもが自ら学び始める仕組みをつくる教育。小さな成功体験を丁寧に積み重ねることで、「できない」から「できた」に変わる瞬間を設計し、やる気に頼らず成績と意欲を同時に伸ばします。

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