『良くない塾ってどんな塾』
こんにちは、与一の井上です。
「政治と宗教と野球の話をするな」とよく言われます。
「ただの一塾講師が何を偉そうに」そう思われるのかもしれません。
ですが日頃中高生の子どもと接する機会の多い大人として、本当に彼ら・彼女らの将来を大きく変える可能性のある時を迎えている今、強く訴えたいことがあります。
これを読んで少しでも感じ入るところを持ってくださる親御さんがいれば、本当に嬉しく思います。
先日、あるカフェで食事をしていたときのことです。
昼を少し過ぎていたのでお客さんも少なくなり、知り合いのお店でもあったのでゆっくりとしていたのですが、少し離れた席にいた高校生くらいの子とその子のお母さんとの会話が耳に入ってきました。
「岸本さんが…」「石破さんが…」「玉木さんが…」
と驚いたことにその子は選挙の話をしていたのです。
確かにその日は先の衆議院選挙からすぐの日ではあったのですが、聞こえてくる限り私達の入店からその親子が帰られるまでずっと政治に関する話をしていたのです。
社会は若者を選挙に行かせたいのか、行かせたくないのか
私は正直感動しました。先の衆議院選挙しかり、県知事選しかり、徳島県で選挙がある度に下がり続ける投票率を悲しく思っていたのに、正しく政治や選挙に興味がある若者を目の当たりにしたからです。
先の衆議院選挙で国民民主党が大きく議席を伸ばしたこと、また先日の兵庫県知事選挙で、斎藤元彦さんが再選を果たされことにも、若者世代の投票結果が大きく反映されたと言われています。つまり、今までよりも若者世代が選挙に興味を持ったのであろうことは間違いありません。
これにはSNSの果たした役割が大きいと、この数週間の間さかんにメディアに取り上げられています。そして「SNSの情報によって重要な意思決定をするのは危険だ」「テレビや新聞は公平だ」と、つい先日も地元紙の社説でどこかで聞いたようなのとまったく同じ論調の意見が述べられていました。
(先の国民民主党の「103万円の壁」のときもそうでしたが、どうしてメディアは判で押したように全く同じ論調で語るのでしょう。何かの圧力ですか?)
ですがそんなことはどうでもいいのです。本当に私が大事だと思うことは、SNSがきっかけで選挙に興味を持ち、投票に行くという行動を起こした若者世代が増えたことだと思うのです。
それを何故「SNSは~」だとか「もっとよく考えて~」だとか折角生まれた新たな流れに冷や水をかけるようなことをするのでしょうか。正直私は非常に強い憤りを覚えています。
「諦め」を伝染させないで欲しい
私も含めた今の中高生の親世代は「失われた30年」のど真ん中で育ち・働き・子育てをしてきた世代です。また俗に言う「悪夢の民主党政権」を経験した世代でもあります。
メディアでは「若者は政治に興味がない」とよく言われますが、実は若者よりも、家庭・会社・社会で中核を担う世代である筈なのに、政治に失望し、政治を信頼できなくなり、投票に行かないこの世代が本当に問題なのではないかと思っています。
実際この世代では、投票率自体は10代・20代より高くとも、50代以上の世代よりも毎回の選挙において10~20%投票率が低いというデータもあります。
私自身20代の頃より選挙では毎回欠かさずに投票に赴いていましたが、それでも「どうせ変わらないだろう」という気持ちは常に抱えていました。
それがこれら2つの選挙ではまさに「民意が政治を動かす」瞬間を目の当たりにしたのです。
もしかして今回の衆議院選挙、または兵庫県知事選挙で初めて選挙に行った若い世代は少なくないかもしれません。私達とは違い「選挙に行けば自分の投票行動により何かが変わる」と思った若者世代は決して少なくないのではないでしょうか。
その折角芽生えた興味を失わせるのは、選挙に行かなくさせるのは誰でしょうか。政府や政治に対しての「諦め」もその一因ですが、大きく影響を与える可能性があるのは私達親世代の「諦め」ではないでしょうか。親が選挙の投票に行かない姿を普段から目にしている子どもたちが、いざ自分が投票権を得た時に積極的に投票に行くでしょうか。
自分の子どもたちに将来苦労をさせたくない、少しでも良い国で生活をさせたい、そう思うのであれば、かつての「諦め」を忘れもう一度選挙に向き合ってみませんか?
それができないのであれば、せめて自分の子ども達に折角芽生えた興味を摘み取るようなことだけは決してしないで欲しいと思うのです。
SNSを見て投票先を決めた?いいじゃないですか。
じゃあ私達親世代はTVや新聞で、子ども達はSNSで投票先を決めて、親子でああだこうだと話し合えばいいじゃないですか。
それで一緒に投票に行くようになれば、素敵なことだと思いませんか?
若者が「選挙に行けば自分の意志が反映される」ことが当たり前だと思えるような国であってほしいと心から願います。