『「できるくない?」「あるくない?」って正しい表現?―日本語の最適化と大人の責任』
こんにちは、与一の井上です。
突然ですが、皆さんは「chatGPT」をご存じですか?
アメリカのベンチャー企業、OpenAIが2022年11月30日に公開した対話型オープンAIで、何かしらの質問を投げかければまるで人間がその場で話しているように、広範囲の内容を極めて自然に答えてくれるものです。
現状では一部の有識者や新しいものに飛びつきがちなYouTuberなどが触れているものの、一般生活にまだ実際の影響を与えるところまでは来ていません。
一方様々な団体では先を見越した具体的な動きが既に出てきています。
横須賀市では日本で初めて自治体として全庁的な活用実験を行うと発表。このように今後の活用を視野に入れる動きもあれば、多くの大学はchatGPTの利用の禁止や制限をするという声明を出しており、特に上智大学は「その使用が判明した場合、厳格な対応を行う」という告知を行いました。
徳島においても「chatGPT」をテーマにした公開講座が27日に四国大学で行われることになっています。
今はまだ一般レベルにおいては「流行りもの」の域を出ていないという印象ですが、私は個人的に「インターネット」と同等の大きな影響を世界に与えるものだと考えています。
実際に2023年2月7日にMicrosoftの検索エンジンはChatGPTの技術を活用した「新しいBing」へと生まれ変わったと発表。
4月19日にはGoogleが開発していた自社のAIチャット「Bard」が日本でも使用可能となりました。
さらには多くの学生・社会人が使用するWordやExcelなどのOfficeソフトにAIを搭載した「Copilot」がMicrosoftから3月16日に発表され、その機能を見た某エモン氏が「ホワイトカラーの9割は仕事を失うんじゃないか」と発言しました。
世界の名だたる大企業がこぞってAIの開発を進める姿は、かつてのIT革命を想起させます。
まだ発表には至ってはいないものの、多くの企業が対話型AIの開発をしていると言われており、その過熱ぶりを危惧した動きもまた現れています。
人類が直面する地球規模の壊滅的なリスクとして、特に高度な人工知能による脅威の軽減を求める非営利団体「Future of Life Institute(FLI)」がGPT-4などを含む人工知能システムの強化・開発を少なくとも6か月間、ただちに停止することをAI開発企業に求める公開書簡を発表。賛同者の署名を募ったところ、アップルの共同創業者として知られるスティーブ・ウォズニアック氏、テスラ/SpaceX/TwitterのCEO イーロン・マスク氏をはじめテクノロジー企業の経営者やAI専門家などが多数署名したと伝えられています。
このような動きを見れば、どれ程大きな影響を与えうるものか、何となく想像して頂けますでしょうか。
2045年に訪れると言われている、AIが人類を超え、その生活に大きな変化を与えるとされるシンギュラリティ(技術的特異点)が、この分ではもっと早くなっても何の驚きもないと考えます。
実際に何ができるのか
さて「世界の」という大きな動きはさておき、現状これを使って何ができるのかを少し見ていきましょう。
まず最初に考えられるのは仕事で活用することです。最近の悩みについて、こんな質問をしてみました。
こんな回答が返ってきました。
…あまりに的を射た答えでびっくりしました。
一つ一つは劇的な改善策というよりはよくある考えではありますが、複数の解決策を瞬時に提示し、かつ現実的なものであり、さらにはまとめの一言まで添えるなど、想像を超えた回答が得られました。
さらにもっと実用的な用途を試してみます。
もう少し注文を付けてみます。
わざわざ「気を利かせて」分類までしてくれました。でもテストなどで使えるように変更してみたいので、
すごいです。勿論最終的にチェックや変更をする必要がありますが、十分に実用的なものだと言えます。
少し不安になりましたので、こんな質問もしてみました。
こう返ってきました。
…なかなかのものですね。
じゃあこんなのはどうでしょう。
安心しました。まだ私達の仕事がなくなる未来はすぐではないようです。
「わかりやすく」というのはやはり相手あってのものですので、まだまだ経験の面では及ばないでしょう。
ただこうしたAIを用いて勉強をするというのは十分現実的なものであり、わからない問題だけを教えてくれる塾であれば、「塾じゃなくて自分で勉強できるんじゃないか」と思われるということはそれほど先の未来ではないのかもしれません。
どう使っていくのか
一時(今も)問題となった「読書感想文をネットから丸写し問題」。
AIならさらにそれとわからないように「書いてもらう」ことができそうな予感がします。
こんな風に聞いてみました。
おかしいですね。こんな話ではなかったように記憶しています。
念のため、「小太郎」ではなく本来の主人公であるはずの「カンダタ」について聞いてみました。
これが「現段階での」AIのレベルです。
質問の投げかけ方にもよるのですが、インターネットでよく言われているのと同様、情報の正誤についてはまだまだ疑わしい部分も少なくないようです。
ただAIは、己の進歩に応じて進歩を繰り返すため、一次関数のような等速での進歩ではなく、二次関数のような加速度的な進歩をすると考えられます。
今はまだできないことも、一度できるようになってしまえば「できない」に戻ることは二度とありません。
今の子達がスマホのない生活が考えられないように、インターネットのない世の中、車や飛行機の無い世の中が考えられないように、技術の進歩は不可逆的なものであり、AIも「始まってしまった」からにはもはや止まることはないでしょう。
先述のOffice「Copilot」は、「副操縦士」という意味を持ちます。 あくまでメインの操縦士は人間であり、それをサポートするという意味合いを持たせたようです。
どこに向かうのか。早いか遅いか。正しく目的地に到達するのか。操縦桿を持っているのは常に私達であることを忘れず、技術の進歩と上手に付き合う必要がありそうです。