マイベストプロ徳島
井上昇哉

子どもたちの思考力を高め、未来の選択肢を広げるプロ

井上昇哉(いのうえしょうや) / 塾講師

学習塾「与一」/合同会社 あたまをたがやす

コラム

『中1生の英語の授業をテストと共に振り返る』

2021年7月13日

テーマ:教育 受験 進路

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

コラムキーワード: 中学英語 勉強法高校受験 勉強法

こんにちは、与一の井上です。

どの中学校も1学期の期末テストが終わり、結果が返って来ている頃でしょうか。
このコラムでは以前に「中学生の英語が超難化」というコラムを書きましたが、実際にはどうだったのか、1年生に絞って考えてみたいと思います。

教科書内容は難化。テストは「今まで通り」…?

繰り返しになりますので詳しくは述べませんが、今年度から英語の教科書は確実に難しくなっています。
さらに「小学校で習っている」との考えの元、決して遅くない速度で学校の授業は進んでいるようです。

ではテストはどうだったのか。
上にあるように「今まで通り」でした。
中1のお子さんをお持ちの方はこれを聞くと、もしかすると大変驚かれるかもしれません。
それはそうでしょう。例年なら1年生の1学期の英語のテストなんて90点は取れて当たり前、
でも今回の英語の平均点は中学校によっては50点未満なんてところもあるようですからね。

では何をもって今まで通りと言うのかと言えば、テストの形式、出題内容です。
考えてみて下さい。教科書が難しくなり、小学校で学習したという名目で中学校では教えないことも少なくない中、「今まで通り」のテストを作り、「今まで通り」の点数になる筈がありません。
また教科書改訂による一番の目的は“英語の4技能(書く・読む・聞く・話す)”の育成です。
それにより教科書の構成も大きく変わり、確かに従来とは異なる能力を付けたいと思って作成された意図は見てとれます。
それでもテストは「今まで通り」です。1年生のテストによくある数字・曜日を“書く”、whatやhowを含む会話でよく使う表現を“書く”…
これで「例年通り1学期だから90点は取れ」と言う方が酷だと思います。

今年度は今のところ与一に通う生徒の多くが同じ中学校の生徒のため、実際に確認したテストが多くなく、徳島県内でも上記の内容に当てはまらないテストもあるかもしれません。
実際に関係者の方に聞いた話では、徳島に限らず全国で見ると、平均点が90点を超えるようなテストであった中学校も少なからずあるようです。
一方前出の中学校のように大幅に平均点の低下した中学校も少なくはないとの話も聞いています。
決してどの学校でもこうであったという話ではないことはご了承下さい。

一体誰が“悪い”のか

はっきりと申し上げておきたいのは、決してその問題を作成した中学校・先生を責めたいという訳ではないということです。
寧ろ仮に私が中学校の先生だったとしても、やはり同じような「今まで通り」のテストを作成した可能性は高いと思います。
では誰が“悪い”のか。
一番に言えるのは「文科省の意図と現場が噛み合っていない」ことでしょう。
4技能を伸ばす方向に英語教育の舵を切るのであれば、テストもその意図通りに作成するよう統一すべきです。
それができていない結果、勿論テスト作成にあたって学校内では話し合い、意思の統一の元テストが作成された筈ですが、学校間では大きな違いとなり表れてしまいました。
文科省の意向を汲んで作成した学校、今まで通り文法や“書く”の能力を重視し「今まで通り」のテストを作成した学校…無理もありません。

個人的意見「このままでは日本人の英語はますます危険な状態に」

以前から私の意見はずっと同じである為、「またか」と思われるかもしれませんが、4技能を重視することは本当に正しいのでしょうか。
人により意見はまちまちです。また変革による結果も出ていない為どちらが正しいなど答えのない問いなのかもしれません。
ですが絶対に一つ看過すべきでないことは“今までであれば90点を取っていたような子でも、70点台しか取れていない”という動かしようのない事実です。

今回のテストを受け、与一に数学だけ通っている子の答案を確認しましたが、文法をまったく理解できていない様子がそれは見事に伺えました。
小学校から英語の習い事をし、決して英語が不得意ではない筈の子が、です。
ある程度の理解力の子ですらこの状態であれば、今まで何とか平均点を取れていた層、さらにはそれより下の子の層はどうなるでしょう。
“英語”から完全に取り残されていくことは想像に難くありません。

この子達が高校生となり大学受験をする頃、果たして現在と同等の英語力を全国の高校生が持ち得ているでしょうか。
先頃民間による英語の大学入試を断念することが発表され、少なくとも近い未来“4技能”が重視される入試になることは無さそうな情勢です。
一般的な生徒のゴールである大学入試は変わらないのに教えられる方法だけ変わり、結果不確実な力しか身に付かないまま大学生・社会人となっていく。
どうですか?私はこれからの日本の英語教育、日本人全体の英語力がどうなっていくのかに対し希望を感じることはできそうにありません。

今するべきことは…?

断言します。文法のきちんとした学習です。
別のコラムでも述べましたし、長くなるため“話す”英語についての意見は割愛しますが、とかく批判ばかりされる従来の文法中心の英語教育が、日本人の英語能力を育んできたことは決して無視してはいけません。
著名な英語学者である北村一真氏の以下のコラムを是非お読みください。
「話す、聞く」を重視しすぎる英語習得の落とし穴

大人になって英語が謙遜ではなく“全く”読めない・話せない人はほとんどいないでしょう。従来の英語教育は確実に日本人の英語力育成に対し成果を生んできました。
それが一番かどうかの議論はさて置き、日本人にとっての英語教育に文法の学習が必要なことは間違いありません。
今中学生の方、きちんと英語を“書く”勉強をして下さい。保護者の方、きちんと“書く”勉強をさせて下さい。
決して大げさではなくこの夏が「英語がよくわからない」を解消する最後のチャンスであると言えます。
英語に苦手意識を持つ前に、取返しのつくタイミングにはもう猶予がありません。
是非とも数年後のために、今から“書く”文法の勉強を丁寧にきちんと行って下さい。

この記事を書いたプロ

井上昇哉

子どもたちの思考力を高め、未来の選択肢を広げるプロ

井上昇哉(学習塾「与一」/合同会社 あたまをたがやす)

Share

関連するコラム

井上昇哉プロのコンテンツ