就活生は「社内の雰囲気が良い企業」で働きたい
先日、右手首を骨折しました。
しかも、よりによって利き手です。右手が使えなくなって初めて気づきました。
世の中、両手を使うことを前提にできていることが、本当に多い。
一番困っていることは車の運転ができないことです。
これは安全第一。諦めるしかありません。
そして、地味に困っているのが洗い物。
これも、現在のところ妙案は浮かんでいません。
仕方がないので袋のまま食べられるものを選んだり、お弁当を買ってきたり。
「洗い物をどうするか」ではなく
「そもそも洗い物を出さない」方向でしのいでいます(笑)。
困ること多いのですが
「これは無理だろう」
と思っていたのに、ちょっとした工夫で意外と何とかなったこともあります。
その一つが、髪の毛でした。
髪を洗うのも大変ですが、問題はその後。
片手でドライヤーを持ってしまうと、髪を触る手がありません。
さて、どうする?
ネットで探してみると、ちゃんとあるんですね。
ドライヤーを固定するためのクリップのような道具が。
「こんなものまで売っているのか!」
と思いながら購入してみました。
ドライヤーをそこに固定すれば、私は残った左手で髪を乾かすことができます。
さらに、
「そもそも髪が長いから大変なのでは?」
と思い、髪も短くしました。
髪の水分を吸い取ってくれるヘアドライタオルも購入しました。
ドライヤーを固定する。
髪を短くする。
便利な道具を使う。
やっていることは、どれも大したことではありません。
でも、
「片手だからできない」と思っていたことが、やり方を少し変えただけで「できる」に変わりました。
もちろん、何でも工夫すればできるわけではありません。
車の運転のように、今は「やらない」と判断すべきこともあります。
洗い物のように、私がまだ解決策を見つけられていないこともあります。
でも一方で、髪を乾かすことのように、「できない」のではなく、
「今までと同じやり方ではできないだけ」
だったこともありました。
道具を使ったり、やり方を少し変えたりするだけで、意外とできることもある!
そう考えているうちに
「あれ? これって、人を採用するときにも似たようなことがあるのでは?」
と思いました。
企業の方とお話ししていると、
「障害のある方を採用するのは、ちょっと不安で……」
という声を聞くことがあります。
何をお願いできるのか分からない。
どんな配慮が必要なのか分からない。
今いる社員の負担が増えるのではないか。
分からないことが多ければ、不安になるのは当然です。
ただ、「この仕事はできないかもしれない」と最初から決めてしまうのは、少しもったいない。
もちろん、一時的な骨折と障害を同じものとして語ることはできません。
ただ、身体の機能が一つ制限された生活を経験して、
「できる・できない」だけで考えるのではなく、
「どうすればできる?」と考えてみることも大切なのではないか
と思うようになりました。
仕事でも同じかもしれません。
道具を変える。
作業手順を変える。
担当業務を組み替える。
パソコンの機能を使う。
指示の出し方を変える。
ほんの少し環境を変えることで、その人が持っている力を発揮できる可能性があります。
そしてこれは、障害者雇用だけの話でもないと思います。
私は外国人留学生の就職支援にも携わっています。
支援している留学生たちは、日本語で日常会話ができ、パソコンも使い、日本の大学などで学んでいます。
それでも採用する企業からすると、
「細かい日本語のニュアンスまで伝わるかな」
「文化が違うけど大丈夫かな」
「日本人なら言わなくても分かることが、伝わらないのでは?」
そんな心配が出てきます。
これも、よく分かります。
実際、日本人同士なら、
「これ、いい感じにやっといて」
で済んでしまうことがあります。
でも外国人に、
「“いい感じ”って、どんな感じですか?」
と聞かれたら……。
確かに困ります。
でも、よく考えてみると、
「いい感じにやっといて」で仕事を教えていることの方が問題なのかもしれません。
「午前中までにここまでしてください」
「終わったら、この3点を確認してください」
「分からなければ、この段階で聞いてください」
そうやって具体的に伝えれば、外国人にも分かりやすくなります。
そして、おそらく日本人の新人にも分かりやすくなります。
外国人社員のために仕事の教え方を工夫したら
結果的に日本人社員にも働きやすい職場になった。
そんなことも十分あり得ます。
今、多くの企業が人手不足に悩んでいます。
「人が来ない」
「若い人が採用できない」
「募集しても応募がない」
そんな声を聞きます。
ところが一方で、
障害がある人はちょっと……。
外国人はちょっと……。
高齢者はちょっと……。
と、「ちょっと……」が増えていくと、採用できる人はどんどん少なくなります。
それは、少しもったいない気がします。
最初から、
「この人には無理だろう」と考えるのではなく
「この人ができるようにするには、何を変えればいい?」
と考えてみる。
道具かもしれません。
仕事の分担かもしれません。
教え方かもしれません。
勤務時間かもしれません。
その人に合った工夫や環境づくりによって
「難しい」と思っていた人が、会社にとって大切な戦力になることもあるはずです。
右手首を骨折して、私の生活はかなり不便になりました。
でもその一方で、
「人間って、案外なんとかするものだな」
とも思っています。
ドライヤーだって、持てなければ固定すればいい。
髪が大変なら、切ればいい。
便利な道具があるなら、使えばいい。
だったら採用も、
「今までと同じやり方で働ける人」だけを探さなくてもいいのではないでしょうか。
人手不足の今だからこそ、
「この人は何ができない?」
ではなく、
「どうすれば、この人の『できる』を増やせる?」
そんな視点で人を見てみる。
もしかすると、会社が探している「戦力」は、すでに目の前にいるのかもしれません!


