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畳の表替えは、張り替えて終わりではありません

森吉久志

森吉久志

テーマ:畳替え・和室リフォーム

表替え補修

畳の表替えについて、多くの方はこんな流れをイメージしていると思います。

畳屋さんに表替えを頼む。
畳を持って帰る。
古い畳表を外して、新しい畳表に張り替える。
そして納品する。

これで終わり。

たとえば、それが1畳7,000円だったとします。

もちろん、この仕事が間違っているわけではありません。

お客様が「畳の表替えをしてください」と依頼して、その通りに畳表を張り替えて納品した。
依頼された作業は、きちんと完了しています。

でも私は、これだけではプロの仕事としては足りないと思っています。

表替えの時に、実は見るところがたくさんあります


畳は、ただ新しい畳表を張れば元通りになるわけではありません。

長年使っているうちに、

・畳と畳の間に隙間ができている
・壁際に隙間ができている
・家具の重みで畳床が凹んでいる
・一部だけ高さが変わって段差ができている
・畳そのものが少し縮んだり、歪んだりしている

といったことが起きています。

しかも、これらは表面だけ見ていると分かりにくいこともあります。
畳を上げてみて、初めて分かることもあります。

以前の畳屋さんが、隙間や段差を調整するために裏側で細工をしている場合もあります。

そこを何も考えずに元の寸法のまま張り替えてしまうと、以前より隙間が目立ったり、段差が出たりすることすらあります。

私なら、表替えはこう考えます


私が表替えをする場合は、単に「張り替える作業」だけでは考えません。

まず商品をご提案して、特徴や違いをご説明します。
そのうえで、お客様に納得して商品を選んでいただきます。

そして畳を引き上げる時に、現在の隙間や段差、凹みなどを確認します。

工場に持ち帰って張り替える際には、必要があれば寸法を微調整します。
家具跡などで畳床が凹んでいれば、状態に応じて補修します。

納品時にも、ただ置いて終わりではありません。

実際に畳を納めながら、隙間や段差をもう一度確認して、必要ならその場で調整します。

最後に、畳の取り扱いやお手入れ方法もご説明します。

同じ畳表を使ったとして、これが1畳10,000円だったとします。

単純に見ると、

「同じ商品なのに3,000円高い」

と思われるかもしれません。

でも、実際にはやっている仕事の中身が違います。

安いか高いかではなく、「どこまでやっているか」


7,000円の表替えが悪くて、10,000円の表替えが正しい、という話ではありません。

大事なのは、その価格の中に何が含まれているのかです。

張り替えだけなのか。

隙間や段差の調整までしてくれるのか。

凹みの補修もしてくれるのか。

商品説明や、納品後の取り扱い説明まであるのか。

見た目だけでは分からない仕事が、実はたくさんあります。

畳は一度納めてしまえば、裏側は見えません。

だからこそ、見えない部分をどこまで丁寧にやっているかで、仕上がりは変わってきます。

「言われた作業だけやりました」で終わるかどうか


お客様から、

「ここに隙間があります」
「前より段差が気になります」

と指摘された時に、

「表替えを頼まれたので、表替えはしました」

と言えば、理屈としては間違っていないかもしれません。

でも私は、それではプロとして少し寂しいと思っています。

お客様は、畳の構造や補修方法まで詳しく知っているわけではありません。

だからこそ、プロである畳屋が状態を見て、

「ここは今のうちに直しておいた方がいい」

「この隙間は調整できます」

「この凹みは補修しておきます」

と判断する。

それが仕事だと思っています。

お客様の想像以上をやってこそ、プロ


お客様が期待しているのは、「新しい畳表になること」かもしれません。

でも、実際に納品した時に、

「隙間まできれいになった」
「段差がなくなった」
「前より気持ちよく納まっている」

と感じてもらえたら、それはお客様が想像していた以上の仕上がりです。

私は、言われたことだけをやるのではなく、お客様が気づいていないところまで整えるのがプロの仕事だと思っています。

畳の表替えは、ただの張り替えではありません。

古い畳を一度預かるからこそできる調整があります。

隙間を直す。
凹みを補修する。
段差を整える。
そして、きれいに納める。

完成してしまえば、どこを直したか分からないことも多い仕事です。

でも、分からないくらい自然に仕上げる。

それが、畳職人の仕事です。

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森吉久志
専門家

森吉久志(畳製造業)

有限会社森吉商店

人生最後の畳替えになるかもしれない。その覚悟で、一人ひとりの暮らしと想いに向き合います。畳を替えて終わりではなく、その先の時間まで後悔させないこと。それが職人としての私の責任です。

森吉久志プロは四国放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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