安さだけで失敗する畳選びの本当の理由

「え? 畳に隙間があるよ」
今まで気づかなかったのに、ある日ふと見ると、畳と畳の間や壁際に隙間ができている。
そうなると、気になりますよね。
「これって、施工ミスなんじゃないの?」
うん。そう思うのも無理はありません。
でも実は、畳に隙間があるからといって、施工ミスとは限りません。
畳は、納めた時の寸法のまま、何年も変わらないものではないんです。
畳は少しずつ寸法が変わります
畳の中には、「畳床(たたみどこ)」という芯になる部分があります。
昔ながらのワラ床のほかに、木質ボードなどを組み合わせた建材床も使われています。
この畳床が、乾燥などの影響で少しずつ縮むことがあります。
私の現場での経験では、状態によって、畳の長手方向が1年で2〜3mmほど縮んでいることがあります。
ただし、これは現場で見てきた例です。
すべての畳が同じだけ縮むわけでも、毎年一定の割合で縮み続けるという意味でもありません。
畳床の種類や部屋の環境、湿度、使用年数などによって、変化の出方は違います。
「数年たったら、納めた時より少し小さくなっていた」
そういう畳に出会うことはあります。
長手方向に隙間が出ることがあります
畳の長い辺に沿った方向を、ここでは「長手方向」と呼んでいます。
現場で見ていると、この方向に縮みが見られることがあります。
畳表は、畳床の上にただ乗せているわけではありません。
施工する時には、畳表をピンと引っ張りながら張っています。
畳床の寸法の変化だけでなく、畳表を張る力なども、長手方向の納まりに影響すると考えています。
ただ、隙間を見ただけで、その原因をひとつに決めることはできません。
畳の種類や状態を見ながら確かめることが大切です。
幅方向との違いも、確認の手がかりになります
長手方向に比べると、幅方向は寸法の変化が目立たない畳もあります。
「長手方向には隙間があるのに、幅方向はそれほど変わっていない」
これも、現場で見かける状態のひとつです。
ただし、畳の材料やつくりによって違うので、幅方向は絶対に縮まない、ということではありません。
隙間の大きさだけでなく、どこに、どの方向の隙間が出ているのか。
そこまで見ると、原因を考える手がかりになります。
もちろん、すべてが経年変化とは限りません
ここは大事なので、はっきり書いておきます。
畳を納めた直後から大きな隙間がある。
部屋の寸法に明らかに合っていない。
こういった場合まで、「畳は縮むものだから仕方ありません」で済ませていいわけではありません。
採寸や施工時の納まりに、問題がある可能性もあります。
確認したいのは、次の3つです。
・いつから隙間が出たのか
・どのくらいの隙間なのか
・どの場所に、どの方向の隙間が出ているのか
納めた直後から気になっているなら、まずは施工した畳屋に伝えてください。
時間がたってから出てきた隙間も、実物を見て判断することが大切です。
表替えは「張り替えるだけ」の仕事ではありません
表替えは、今の畳床を使い、表面の畳表を新しくする仕事です。
その時、今ある隙間も確認します。
ただ畳表を新しくして、元の場所に戻すだけではありません。
隙間があれば、畳床の状態を見ながら、寸法を調整できるかを考える。
凹みがあれば補修する。
段差があれば調整する。
そして納めた時に、できるだけ自然に整える。
前のコラム「畳の表替えは、張り替えて終わりではありません」でも書きましたが、畳を一度上げるからこそできる仕事があります。
隙間ができても、直せることがあります
畳に隙間を見つけると、
「もう畳を新しくしないとダメなのかな」
と思う方もいます。
でも、状態によっては、表替えの時に寸法を調整して、隙間を目立たなくできることがあります。
一方で、畳床の傷みが大きい場合などは、新調を検討した方がよいこともあります。
だから、気になったら、まず畳屋に見てもらってください。
「隙間があるからダメ」と決めつけず、なぜ隙間ができたのかを見ることが大事だと思っています。
畳は、使っている材料や部屋の環境によって、時間とともに少しずつ変化します。
その変化まで見ながら、また気持ちよく使える状態に整える。
そこまでやって、畳屋の仕事だと思っています。


