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個人間で無償により土地や借地権の借り受けがあった場合(1/2)

内山瑛

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テーマ:税金

 親の土地や借地上に子が建物を建設する場合、通常、無償により土地や借地権の借り受けがあると考えられます。また、親が借地権者である土地の所有権(底地)を子が地主から買取り、その後親子間で地代の授受が行われなくなることもあります。このように、個人間で無償により土地や借地権の借り受けがあった場合の税務上の取り扱いを整理しましょう。なお、本稿で記述する取り扱いは、個人間の貸借関係に実情を踏まえて定められているものであり、当事者のいずれか一方が法人である場合については、本稿では記述を省略します。

■ 使用貸借による土地の借り受けがあった場合

 建物または構築物(以下、「建物等」)の所有を目的とする土地の賃貸借に際し、権利金などの一時金を授受する慣行がある地域では、土地を借り受ける者は、借地権の設定の対価として地主へ権利金などの一時金を支払います。しかしながら、例えば、親の土地上に子が建物を建築する場合など親子や夫婦間では、通常、土地の貸し借りの際に権利金などの一時金や地代は支払われていないと考えられます。
 建物等の所有を目的として使用貸借により土地を借り受けた場合、土地を使用する権利の価格は零として取り扱われ、土地を借り受けた者に贈与税が課税されることはありません。
 また、相続税や贈与税の課税価格の計算上、使用貸借に係る土地又は借地権は、原則として、その土地または借地上の建物の自用または貸付けの区分にかかわらず、土地または借地権が自用のものとして評価します。
 例えば、親の土地に子が建物を建築した場合、子に贈与税が課税することはありません。また、親が死亡した場合の相続税の課税価格の計算上、子が建築した建物の自用または貸付けの区分にかかわらず、土地は自用地として評価します。

■ 使用貸借による借地権の転借があった場合

 次に、借地権者から無償で借地権を借り受けた(借地権を転借した)場合を整理しましょう。借地権者から使用貸借により借地権を転借してその借地上に建物等を建築した場合、借地権を転借する権利の価格は零として取り扱われ、借地権を転借した者に贈与税が課税することはありません。
 この場合、借地権の転借が使用貸借である事実を確認するため、借地権を転借した者、借地権者(借地権を転貸した者)および土地所有者(地主)の3者連名により、「借地権の使用貸借に関する確認書」を、借地権を転借した者の住所地の所轄税務署長へ提出します。

 例えば、親の借地権を使用貸借により転借して子が建物を建設した場合、子、親および地主の3者連名により、「借地権の使用貸借に関する確認書」を、子の住所地の所轄税務署長へ提出し、使用貸借である事実が確認されたときは、子に贈与税が課税されることはありません。また、親が死亡した場合の相続税の課税価格の計算上、子が建築した建物の自用または貸付の区分にかかわらず、借地権は自用の借地権として評価します。
 なお、借地権の転借が使用貸借によるものでない場合には、実態に応じ借地権または転借権の贈与があったとして、借地権を借り受けた者に贈与税が課税される場合があります。

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