義援金に関する税務あれこれ
7.海外視察費
役員や従業員が海外渡航するために支給する「海外視察費」は、一定条件を満たせば損金算入してもよいと決められています。税務調査でのチェックポイントは、主に「業務上必要であるか」といった費用の妥当性です。たとえば、現地企業の訪問や、事業に関連した展示会の参加などであれば業務上必要と判断されますが、一方で、視察のついでに単なる観光をした場合はその分否認される可能性が高いです。そういったときは按分し、必要な分を損金算入しましょう。
また、通常認められる金額以上の渡航費を支給していた場合、その分を「給与」と見なされることもあります。そうなると源泉徴収の必要があるということと、さらに役員の場合は役員報酬となり、損金算入できないので注意してください。
8.交際費
本来は損金不算入とされる「交際費」ですが、特例で「最大800万円まで全額を損金算入(中小企業のみ)」または「飲食費の半額を損金算入」のいずれかを適用できるようになっています。
交際費は認識間違いや不正計上が多く、「正しく損金算入されているか」「私的な費用が交際費として計上されていないか」といった観点から税務調査でチェックされやすい科目といわれています。
交際費については範囲が広いので、指摘内容もさまざまです。たとえば「従業員の慰安のための支出」や「1人あたり5000円以下の飲食費」、「会議のために提供した飲食物代」などは交際費として計上できないため否認されます。それ以外の場合でも、必ず領収書などの証拠を残しておきましょう。
9.税理士の立会いを検討する
税務調査の通知を受けたら、税理士への立会い依頼を検討しましょう。通常であればその企業の経理や代表者のみで調査は行われますが、税理士に立会いしてもらうことで以下のようなメリットがあります。
経費として否認される場合に、税理士が根拠を持って説明してくれる
調査官の質問に対して、税理士がアドバイスをしてくれる
経営者や経理担当者が1人で悩まずに済み、精神的な負担が少なくなる
顧問税理士がいる場合は、その方に依頼をするのがスムーズですが、税理士でも得意分野があるため税務調査には対応していないこともあります。その場合は法人税分野を得意としていたり、税務調査を専門にしているような税理士を新たに探しましょう。なかには国税庁出身の税理士もいるので、「どのような税理士なのか」をよく検討した上で税務調査の立会いを依頼しましょう。
■ 税務調査で指摘されたらどんなペナルティが?
税務調査の結果、記帳内容・申告内容などに問題がなければ是認の旨の通知を持って終了となります。一方で指摘事項があった場合にはペナルティとして「追徴課税」を納めなければならなかったり、税制面で優遇されている「青色申告」が取り消されてしまうかもしれません。
・追徴課税
追徴課税とは申告した税額が本来の金額よりも少なかったとき、追加で納める税金のことです。
まず、改めて正しい金額で申告を行い、本来納めるべき税金を追加で納付します。ところが通常の期限を過ぎての納付になるため、納付が遅れたことに対するペナルティとして「延滞税」が課されます。法定期限の翌日から最初の2か月が原則年7.3%で、それ以降は原則年14.6%の割合で課されます。
さらに本来の税額より少なく申告したことに対するペナルティとして「加算税(過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税)」があります。どの加算税が課されるのかは申告状況によって異なりますが、もっとも重い「重加算税」の場合、最大で本税に対して40%の税率で課されることになります。
・青色申告の取り消し
法人税の申告方法にも個人と同じように「青色申告」と「白色申告」のふたつがあります。青色申告には、赤字を繰り越せる「欠損金の繰越控除」など税務上優遇された制度があるので、なるべく青色申告法人であり続けたほうがよいでしょう。
税務調査において、たとえば以下のような場合には青色申告者としての承認が取り消されてしまうことがあります。
・調査官の求めに応じず、帳簿書類の提出を拒んだ
・帳簿書類の記載方法が正しくない
・所得の隠蔽などを行っていた
税務調査で指摘を受けたからといって、必ずしも青色申告が取り消されるわけではありませんが、最低限調査官の求めには素直に応じ、隠すような行為などはしないようにしましょう。
税務調査の対象となりやすい法人とは?(1/3)
税務調査の対象となりやすい法人とは?(2/3)