子が大学入学時に受けた奨学金を親が一括返済した場合における課税関係
私の書いた記事が税理士ドットコムトピックスに掲載されましたので、転載いたします。よろしければ、ご覧になっていただければ幸いです。
https://www.zeiri4.com/c_1007/h_639/
「税務調査」と聞くだけで、不安を覚える経営者の方もいるでしょう。その理由は、税務調査に対してのイメージが漠然としているからかもしれません。そこで「税務調査の対象になりやすい法人の特徴」や「税務調査に備えて気をつけること」などを解説します。
■税務調査はどんな会社にやって来る?
結論を言うと、どんな会社でも税務調査の対象になる可能性はあります。そこで、法人税に関する税務調査の実態から、税務調査の対象になりやすい法人の特徴を見ていきましょう。
■ 法人に税務調査が入る割合
国税庁が発表した『平成28年度 法人税等の調査実績の概要』(以下、同調査の概要)を参照すると、1年間の調査件数は9万7000件で、そのうち法人税の非違があった、つまり税務調査によって指摘事項があったとされる件数は7万2000件 でした。同年の申告法人数は約268万件だったので、実調率(税務調査数÷法人数)は約3.6%であることがわかります。
■ 税務調査の対象となりやすい法人の特徴
ところで、税務当局は納税者の情報を「国税統合管理システム(KSKシステム)」で管理しています。このシステムで申告内容を一括管理し、税務調査の対象にすべき法人をピックアップしているそうです。税務当局は「どのような法人に対して税務調査を行うか」を明言はしていませんが、一般的には以下のような特徴がある法人は、税務調査の対象となりやすいといわれています。
① 売上高や利益額が大きい
② 売上高や利益額に大きな変動が見られる
③ 設立後、税務調査を受けたことがない
④ 以前の税務調査から期間が開いている
⑤ 以前の税務調査で追加の税金を払った
⑥ 申告漏れの多い業種、業界に属する
上記に該当しているからといって、必ずしも税務調査が入るわけではありませんし、反対に、該当していなくても税務調査が行われる可能性はあります。そのため、いつでも税務調査に対応できるように、普段から正しく記帳・申告するように心がけましょう。
■ 赤字でも対象になる?
同調査の概要によれば、全法人のうち黒字申告している法人の割合は33.2%となっています。言い換えると、約3分の2の法人は「赤字を出している法人」や「(繰越欠損金控除を使って)所得額0円で申告している法人」などで、黒字ではない法人なのです。そしてたとえ赤字だったとしても、税務調査の対象になり得ます。同調査の概要を参照すると、平成28年には約3万4000件の無所得申告法人に対して税務調査を行っています。この無所得申告法人とは、簡単にいえば先ほど説明した「黒字ではない法人」のことです。このことからもわかるとおり、赤字法人であっても税務調査の対象になるのです。
なぜ黒字ではない法人も税務調査の対象となり得るかというと、「虚偽の申告により赤字となっていないか」を確認する必要があるからです。赤字と偽って脱税している法人を取り締まることはもちろんですが、赤字は翌年以降に繰り越せるので金額の正確性を確認しているのです。
また、黒字ではなかったとしても、それは会計上の赤字なだけで税務上は黒字である場合も考えられます。法人税は課税所得に対して、つまり会計上の利益額に税務調整を行った金額に課されます。そのため、税務調査を行うことで「本当に赤字かどうか」を確認するのです。
■ 無申告でも税務調査の対象になる
同調査の概要によれば、平成28年には2623件の無申告法人に対しても税務調査が行われています。無申告法人とは、なんらかの理由で決算の申告をしていない法人のことです。税務当局は納税者の公平性を担保するため、必要に応じて無申告法人に対しても税務調査を行っているのです。
■ 任意調査、強制調査とは
そもそも、税務調査には「任意調査」と「強制調査」の2種類があり、違いは以下の通りとなっています。
・任意調査:税務署などが「申告内容を確認する」ために行う調査
・強制調査:国税局査察部が「脱税が疑われる」法人などに行う調査
税務調査のほとんどは「任意調査」です。さらに任意調査には「準備調査」と「実地調査」の段階があり、準備調査で申告書の問題点などを洗い出し、その後実地調査が行われます。実地調査もいくつか種類がありますが、事前に納税者に調査日の通知を行う「一般調査」の方法が多いです。
利益と所得の違いおよび法人税の課税基準
附帯税(加算税・延滞税)制度(1/2)