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コラム

親族間の金銭貸借に係る税務上の留意点(1/2)

2018年1月24日 公開 / 2020年4月29日更新

テーマ:税金

コラムカテゴリ:ビジネス

マイホーム購入時など一時に多額の資金が必要な場合に、親と子など特殊な関係がある者相互間(以下、家族間)で資金援助が行われることも多くあります。資金援助は貸借または贈与により行われますが、親族間では両者の区別があいまいな場合もあります。今回は、親族間の金銭貸借に係る税務上の留意点について概観します。

親族間の金銭貸借の法的位置付け

マイホーム購入時の資金援助として親族間で行われる金銭貸借は、一般に、金銭消費貸借計画であると考えられます。民法上、「消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じものをもって返還することを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる」(民法587)とされ、次に述べる贈与とは異なり、簡単に言うと、借主が貸主に返還するということが前提となっています。

贈与と贈与税

親族間で行われる資金援助が、金銭の贈与により行われることもあります。民法上、「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することによって、その効力を生ずる」(民法549)とされ、贈与者が受贈者に対して無償で財産を与えること(を受贈者が受諾していること)が前提となっています。
贈与税は、個人から贈与により財産を取得したものに課税されます(相法1の4)。また、贈与契約がなくとも、贈与により財産を取得したとみなされる場合にも課税されることに注意が必要です。(相法5~9の5)

親族間の資金援助に係る税務

親族間で行われる資金援助は、その実態が貸借であるか贈与であるかの区別があいまいな場合もあります。例えば、金銭貸借について書面を作成している場合であっても、返済条件が明確でない場合や(いわゆる「ある時払いの催促なし」や「出世払い」)、返済がされていない場合など、形式上は貸借であっても、実態は贈与であると認められる場合も少なくありません。このような場合、民法上、贈与契約がない場合であっても(当事者間では金銭貸借であるとの認識であっても)、税務上は贈与として取り扱われ、贈与税の課税対象となる場合があります。

金銭貸借に伴う利子に係る税務

親族間で無利子の金銭の貸借があった場合、その利子に相当する金額について、経済的利益の享受に該当するものと取り扱われ、その利益を受ける金額が少額である場合または課税上弊害がないと認められる場合を除いて、贈与税の課税対象となります(相法9、早相通9-10)。なお、この場合は原則として、所得税上、利子相当額が貸主の収入として認定されることはありません。
一方、親族間で利子を付して金銭の貸与があった場合、事業から生じたと認められるものを除き、金銭の貸付による所得(利子部分)は雑所得に該当します(所基通35-2)。なお、この場合、所得税法上、現実の支払の有無を問わず(未収であっても)、収入すべき金額を計上しなければいけません。
このように、利子を付して金銭貸借を行う場合には、その利子が貸主の所得となり、原則として、貸主は所得税(または住民税)の申告が必要になります。

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