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内山瑛

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内山瑛(うちやまあきら) / 公認会計士

内山瑛公認会計士・税理士・行政書士事務所

コラム

雑損控除 -自宅の屋根裏に棲みついた野生動物の捕獲費用等-

2018年1月6日 公開 / 2020年4月29日更新

テーマ:税金

コラムカテゴリ:ビジネス

【質問】

 野生動物が自宅の屋根裏に棲み着いてしまい、梁等を齧ったり、排泄する糞尿等によって天井へのシミや悪臭が発生するといった被害の生じることが考えられたことから、早急に業者に依頼してこの野生動物の捕獲・駆除をしてもらいましたが、この費用は雑損控除の対象になりますか。
 また、侵入を防ぐために侵入路を塞ぐ工事を後日行いましたが、この費用も同様に雑損控除の対象となりますか。

【回答】

 野生動物の捕獲・駆除のために要した費用は雑損控除の対象となりますが、侵入を防ぐための工事費用については対象にならないものと解されます。雑損控除の対象とされる災害には、害虫、害獣その他の生物による異常な災害も対象とされていますので、ご質問の野生動物が自宅に棲み着くことで梁等が齧られたり、糞尿等による被害が現に生じた場合には、この野生動物を捕獲・駆除するために要した費用は雑損控除の対象とされることになるものと解されますが、まだ、この被害が生じていないときであっても、雑損控除の対象とされる「災害等に関連するやむを得ない支出」には、「災害により住宅家財等につき現に被害が生じ、又はまさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合において、当該住宅家財等に係る被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出」も該当することになります。
 したがって、現に自宅への被害が生じていなくても、野生動物が棲み着くことで梁等が齧られたり、糞尿等による被害の生じることが十分予測される場合には、この被害を未然に防ぐために野生動物を捕獲・駆除するために要した費用は雑損控除の対象とされることになるものと解されます。また、上記の「被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出」という点に関し、国税庁質疑応答事例(所得税)「シロアリの駆除費用」では、「切迫している被害の発生を防止するための応急措置に係る費用のように、その費用の支出の効果がその災害による被害の発生を防止することのみに寄与するものをいい、シロアリの被害を事前に防止するための費用及びシロアリの駆除とともに行う予防のための費用は、応急的措置に係る費用でないことから、雑損控除の対象とならない。」旨説明されています。
 そうしますと、ご質問の野生動物の侵入防止策を講じるための費用は雑損控除の対象とはされないことになるものと解されます。

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