遺言書とエンディングノート
【お盆特別号】“争族”を防ぐわが家の相続会議
~家族が集まる今こそ、相続の「はじめの一歩」を~
お盆に家族が顔をそろえるこの時期。
ふだんなかなか話せない「相続のこと」を、少しだけ家族で話してみませんか?
「うちは仲が良いから大丈夫」と思っていても、
相続をきっかけに家族の関係がギクシャクしてしまう“争族(そうぞく)”は、
誰の家でも起こり得ます。
けれど、ちょっとした話し合いと準備で、それを防ぐことはできます。
■ そもそも、“争族”はなぜ起きる?
「財産がたくさんある人だけの話でしょ?」
そう思っている方が多いのですが、実は相続トラブルの約7割が“遺産総額5,000万円以下”の家庭で起きています(※家庭裁判所のデータより)。
トラブルの多くはこんなケースです。
▼よくある“争族”の原因
•「遺言書がなくて、誰が何をもらうかで大モメ」
•「実家を相続した長男だけ得している」
•「介護をしてきたのに、まったく考慮されていない」
•「兄弟間で連絡が取れなくなってしまった」
一度こじれると、修復はとても難しく、家族関係が壊れてしまうことさえあります。
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■ “争族”を防ぐカギは、家族の「話し合い」
トラブルの芽を摘むには、何より家族で話すことが大切。
お盆のような機会に、まずは**相続についての「わが家の会議」**を開いてみましょう。
でも、「何から話せばいいかわからない…」という方のために、シンプルな流れをご用意しました!
【チャート】“わが家の相続会議”スタートガイド
下のチャートを参考に、まずは「わが家の今の状況」を知るところから始めてみてください。
わが家に相続の対象になる財産はある?
↓(YES)
現金・預貯金はすぐに分けられる?
↓(NO)
→ 不動産や株など分けにくい財産がある
↓(YES)
家族で希望が一致している?
↓(NO)
→ 争族リスクあり!事前に話し合いを
↓(YES)
→ 分割は比較的スムーズに進む可能性あり
チャートで「争族リスクあり!」となったご家庭は、早めに準備しておくことで“もめない相続”
を実現しやすくなります。
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■ 話し合いで話すべきポイント3つ
相続会議といっても、堅苦しく構える必要はありません。
以下の3つのポイントを軽く話すだけでも、十分な「第一歩」になります。
●1. 実家や土地は誰が引き継ぐ?どう活用する?
・「誰が住む予定?売る可能性はある?」
・「兄弟姉妹で共有にする?それとも一人にまとめる?」
→ 分けにくい財産ほど、話し合いが重要!
●2. 介護や家族のサポートをどう考慮する?
・「介護を担った人の貢献をどう考えるか」
・「家族全員が納得できるバランスはあるか」
→ 感情面がからむポイント。丁寧な対話がカギです。
●3. 親として、どんな形で子どもたちに託したいか?
・「平等に分けてほしい」?
・「あの子に家を継いでほしい」?
・「できるだけもめない形で渡したい」?
→ 親の“気持ち”を言葉にして伝えるだけで、家族の姿勢は変わります。
■ 遺言書+専門家のアドバイス=最強の“安心セット”
家族で話し合ったら、その内容を「遺言書」などの形にしておくとさらに安心です。
おすすめは「公正証書遺言」という、法的にも確かな遺言書。
税理士や司法書士、弁護士と連携して、将来のトラブル回避につながります。
契約・遺言書は元気なうち(意思能力があるうち)でないと作成できません。
相続税のかかり方や節税の可能性など、お金の部分は税理士に早めにご相談を!
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■ まとめ:家族が笑顔でいられる相続のために
相続は「財産の問題」だけではありません。
家族の関係、想い、感謝や責任が重なる『人の問題』でもあります。
お盆は、大切な人たちと「これから」を考える、数少ないチャンス。
今年のお盆は、どうか「わが家の相続会議」を開いてみてください。
準備が早ければ早いほど、“争わない相続”に近づけます。



