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パーソナルジムの閉店が身近でも増えている
最近、私の周囲でもパーソナルジムの閉店や廃業が相次いでいます。
以前一緒に食事をしたジム経営者のお店が、気づいたときには閉店していたこともありました。また、経営相談に来られたトレーナーが、資金面の問題から店舗を畳むことになったケースもあります。
これは私の周囲だけで起きていることではありません。東京商工リサーチが公表した調査では、2023年度のフィットネスクラブの倒産が、2024年2月までに28件となり、当時の過去最多を更新しています。
この調査はパーソナルジムだけを対象にしたものではありませんが、フィットネス業界全体で競争が激しくなり、特に小規模事業者にとって、安定した集客と利益の確保が難しくなっていることを示しています。
パーソナルジムは、比較的小さな規模から開業できます。しかし、トレーニングの技術が高ければ、経営も自然とうまくいくとは限りません。
長く経営を続けるためには、価格設定、集客導線、資金繰り、認知獲得、数値管理まで、開業前から設計しておく必要があります。
技術力だけでは補えない経営面の準備
これから独立を目指すトレーナーや、開業して間もないパーソナルジム経営者からは、次のような相談が多く寄せられます。
- SNSを更新しているのに問い合わせが増えない
- 周辺のジムに合わせて価格を決めたが、忙しいのに利益が残らない
- 売上は立っているはずなのに、通帳の残高が増えない
- 良い立地に出店したのに、想定していたほど集客できない
- 資金が少なくなり、新しい集客施策を実行できない
こうした相談に共通しているのは、トレーニング技術の不足ではありません。
価格設定、集客導線、資金管理、数値管理といった、経営面の準備が不足していることが多いのです。
実際に、月間の問い合わせ件数、体験からの契約率、客単価、継続率、解約率などを尋ねても、すぐに答えられないケースは少なくありません。
トレーニングの質を高めることはもちろん重要です。
しかし、良いサービスを提供しているだけで、お客様が自然に集まり、利益が残るわけではありません。
経営とは、数字を確認し、問題点を見つけ、改善を積み重ねることです。
関連動画
パーソナルジム経営が続かなくなる原因については、YouTubeでも詳しく解説しています。
パーソナルジム経営で見直したい5つのポイント
1.必要な売上から価格を逆算する
価格を決めるときに、周辺のジムが月5万円だから、自分のジムも同じくらいにしようと考える方は少なくありません。
しかし、家賃、人件費、広告費、光熱費、システム利用料、自分自身に必要な報酬は、ジムによって異なります。
まずは毎月必要になる費用を計算し、必要な利益を確保するためには、いくらの売上が必要なのかを確認します。
そのうえで、客単価と必要なセッション数を逆算することが重要です。
価格を安く設定しすぎると、売上を確保するために多くのセッションを担当しなければならず、忙しいのに利益が残らない状態や、トレーナー自身の過重労働につながります。
2.集客を一つの方法に依存しない
以前に比べて、SNSだけで安定した新規集客を続けることは難しくなっています。
Instagramを更新していても、その投稿を見ているのが既存のお客様や知人だけになっているケースもあります。
集客では、SNSだけでなく、次のような複数の経路を組み合わせることが重要です。
- ホームページのSEO
- GoogleマップのMEO
- お客様からの口コミ
- 紹介制度
- チラシや地域広告
- 地域企業や他業種との提携
一つの集客方法がうまくいかなくなっても、別の経路から問い合わせを獲得できる状態をつくっておく必要があります。
資金が少なくなってから集客方法を増やそうとしても、広告やホームページの改善に使える費用が残っていない場合があります。
集客導線は、開業前から準備しておくことが大切です。
3.売上と使えるお金を分けて考える
パーソナルジムでは、回数券や長期コースの代金を先に受け取ることがあります。
まとまった入金があると、通帳の残高が増えたことで、利益が出たように感じるかもしれません。
しかし、その中には、これから数か月かけて提供するサービスの代金も含まれています。
入金されたお金をすべてその月に使えると考え、設備投資や広告費などに使ってしまうと、後から家賃や人件費を支払えなくなる可能性があります。
売上の金額だけを見るのではなく、今後提供するサービス分も考慮しながら、月単位で資金繰りを確認することが必要です。
4.立地だけでなく、発見される仕組みをつくる
駅前や大通り沿いなど、目立つ場所に出店すれば自然にお客様が来るとは限りません。
パーソナルジムは、通りすがりにその場で利用を決めるサービスではありません。多くのお客様は、ホームページ、Googleマップ、SNS、口コミなどを確認してから問い合わせをします。
重要なのは、物理的に目立つことだけでなく、インターネット上で見つけてもらえる状態をつくることです。
浜松市をはじめとする静岡県西部では、車で移動する方が多いため、駅前であることよりも、駐車場の有無や、自宅・職場から通いやすいかどうかが重視される場合もあります。
高額な家賃を負担して目立つ場所に出店する前に、地域名を含めた情報発信やGoogleマップの整備、口コミの蓄積に取り組むことも必要です。
5.感覚ではなく数字で経営を確認する
トレーナーは、指導技術を感覚的に磨くことができます。しかし、経営まで感覚だけで判断することにはリスクがあります。
毎月、少なくとも次の数字を確認する必要があります。
- 問い合わせ件数
- 体験数
- 体験からの契約率
- 客単価
- 継続率
- 解約率
- 広告費
- 集客経路別の成約数
例えば、問い合わせが少ないのであれば、認知や集客方法に問題がある可能性があります。
問い合わせはあるものの契約につながっていないのであれば、体験内容、カウンセリング、料金説明などを見直す必要があります。
契約は取れていても継続率が低いのであれば、提供するサービスやフォロー方法に改善点があるかもしれません。
数字を記録していれば、どの段階に問題があるのかを把握できます。感覚ではなく、数字を根拠に改善を繰り返すことが、安定した経営につながります。
約15年前とは経営環境が変わっている
私がパーソナルジムを立ち上げた約15年前と比べても、業界を取り巻く環境は大きく変わりました。
低価格帯の24時間ジムをはじめ、多様なフィットネス施設が増えています。
SNSでの情報発信も当たり前になり、お客様は来店前に価格、サービス内容、口コミ、トレーナーの人柄まで調べるようになりました。
以前と同じ方法で営業を続けているだけでは、周囲の変化に対応できなくなる可能性があります。
これからは、トレーニング技術だけでなく、価格、集客、資金繰り、認知獲得、数値管理を継続的に見直せるジムと、個人の感覚だけで運営するジムとの差が広がっていくと考えています。
まとめ|指導を続けるために経営を整える
フィットネスクラブの倒産増加は、業界全体に対する警鐘であると同時に、自分の経営を見直す機会でもあります。
パーソナルジムを長く続けるために必要なのは、トレーニング技術だけではありません。
- 必要な売上から逆算した価格設定
- 複数の集客導線
- 月単位の資金管理
- インターネット上で発見される仕組み
- 問い合わせ数や契約率などの数値管理
これらを一つずつ整えていく必要があります。
技術を磨くことと、経営の土台を整えることは、どちらか一方を選ぶものではありません。
トレーナーとしてお客様の指導を続け、自分が目指すサービスを長く提供するためにも、早い段階から経営に向き合うことが大切です。
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