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「“薬との付き合い方”を考える」 ― 在宅医療アラカルト② ―

栗原憲二

栗原憲二

テーマ:生活、健康

富士市・富士宮市で在宅医療に携わっている薬剤師の栗原憲二です。

在宅医療の現場で、患者様と向き合っていると、頻繁に耳にする言葉があります。

「この薬、いつまで飲めばいいんですか?」

一見するとシンプルな質問ですが、この問いの中には、薬との向き合い方の本質が含まれているように感じます。

薬は“飲めばよいもの”ではなく、“どう付き合うかを考えるもの”です。






薬には「二つの性質」がある


薬を理解する上で重要な視点があります。

それは、

継続することで意味を持つ薬と、役割が終われば中止すべき薬がある、ということです。

この違いを理解することが、適切な服薬の第一歩となります。



継続することで効果を発揮する薬


まず一つ目は、継続して服用することで効果を発揮する薬です。

代表的なのは、

・糖尿病
・高脂血症
・高血圧

といった、生活習慣に関連する疾患に対する薬です。

これらの薬は、症状を一時的に抑えるものではなく、体の状態を長期的に整えるものです。

そのため、

・症状がない
・体調が良い

といった理由で中断すると、見えないところで病態が進行してしまう可能性があります。

ここで重要なのは、

「効いているから続ける」という考え方です。



症状が治まれば中止を検討すべき薬


一方で、もう一つのタイプがあります。

それは、

症状が改善すれば役割を終える薬です。

例えば、

・風邪(感冒)
・感染症
・皮膚の発疹

などに対する薬です。

これらは、一定期間の使用を前提としており、
症状が改善した後も漫然と続けることは望ましくありません。

特に抗菌薬に関しては、不適切な使用が耐性菌の問題にもつながります。

つまり、

「続けること」だけでなく「やめる判断」も重要なのです。



在宅医療で起こりやすい「混同」


在宅医療の現場では、この二つの性質が混同されることがあります。

・本来は継続すべき薬を中断してしまう
・本来は中止すべき薬を続けてしまう

この背景には、

・理解不足
・情報の分断
・生活とのズレ

があります。

薬の性質が生活の中で正しく位置づけられていないのです。



薬を「生活の中で設計する」という視点


ここで重要になるのが、第1回で触れた「関係性」とのつながりです。

薬は単体で存在しているのではなく、生活の中に組み込まれて初めて意味を持ちます。

例えば、

・朝食をとらない人に「食後薬」をどうするか
・外出が多い人の服薬タイミング
・認知機能に応じた管理方法

こうした点を考慮して、

生活に適合する形に再設計することが求められます。



お薬カレンダーが示す「継続と中断」


お薬カレンダーは、単なる整理ツールではありません。

そこには、

・どの薬が毎日必要か
・どの薬が期間限定か

という情報が可視化されます。

継続すべきものと、終わるべきものの区別を支える仕組みとして機能します。



薬剤師の役割は「見極めを支えること」


患者様がすべての薬の性質を理解することは容易ではありません。

だからこそ薬剤師は、

・この薬はなぜ続けるのか
・この薬はいつまでか
・やめるタイミングはいつか

を丁寧に伝える必要があります。

薬の意味を翻訳し、判断を支える存在です。



まとめ


薬との付き合い方とは何か。

それは、

「続けるべきもの」と「やめるべきもの」を見極めることです。

薬は単なる物質ではなく、生活の中に入り込み、時間とともに役割を変えていきます。

その変化を理解し、支えていくこと。

それが、在宅医療における薬剤師の重要な役割だと感じています。





How Should We Live with Medicines? ― Home Care À La Carte ② ―

I am Kenji Kurihara, a pharmacist engaged in home medical care in Fuji City and Fujinomiya City.

A common question I hear is:

“How long should I take this medicine?”

Medicine is not something you simply take—it is something you learn to live with.



[[Table of Contents]]



Two Types of Medicines


There are two major categories:
Medicines that require continuous use
Medicines that should be stopped when symptoms resolve



Medicines That Require Continuation


Examples include:
•Diabetes
•Dyslipidemia
•Hypertension

These medicines regulate the body over time.

You continue them because they are working.



Medicines That Should Be Stopped


Examples include:
•Common colds
•Infections
•Skin eruptions

Stopping is as important as continuing.



Confusion in Home Care


Patients may:
•Stop essential medicines
•Continue unnecessary ones

The meaning of medicines becomes unclear in daily life.



Designing Medicines Within Life


Medicines must be adapted to real life.

They must be redesigned to fit daily living.



Medication Calendars


They visualize:
•What continues
•What ends



Role of the Pharmacist


Pharmacists support decision-making and understanding.



Conclusion


Living with medicines means knowing what to continue and what to stop.

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栗原憲二
専門家

栗原憲二(薬剤師)

ふじやま薬局

店舗は整形外科並びに内科、透析医院の処方の授受を受けているため、普段から幅広いお薬を取り扱っています。在宅では、個人宅並びに施設担当。富士・富士宮地区を幅広く車で訪問させていただいております。

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