中小企業の再建 ~社長と社員の意識改革~
今回は事業再生の現場や金融機関との交渉の中で出てくる言葉に、『金融検査マニュアル』という言葉がでてきますが、そのことについて書いていきます。
そもそもこの金融検査マニュアルというのは、金融庁が金融機関を検査する時の手引書みたいなものです。
言葉の通り、金融機関を検査するためのマニュアルってことですね。
ですので、金融機関が融資先を評価したり、選定したりする際に使われるマニュアルではありません。
金融庁が金融機関を検査される時の指針的な役割となるマニュアルですから、当然、金融機関も参考にします。
その中に「債権者区分」ってことが書かれていますが、これにより金融機関が「貸し渋り」や「貸し剥し」が行われたと言われています。
このあたりの説明は「債権者区分」とは?ってことも含めて後日に。
「貸し渋り・貸し剥し」はかなり問題になりましたね。そのこともあってか、平成14年2月、新たに『金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)』というものが公表されました。
これには単なる財務状況だけで判断せず、経営の実態を把握し、経営者の考え方なども鑑みて総合的に柔軟に対応しなさいね、と言ったようなことが書かれています。
従来は、「金融機関に赤字決算書を提出するなんてとんでもない!」という考えの経営者が多かったと思います。当然なことではありますが、以前ほど、赤字に対して臆することもないのかなというのが私の考え・・・。
赤字と言っても、どのような状況により赤字決算となったのかってことが大切です。
営業利益の段階で赤字ということですと、「そりゃ、商売を続ければ続けるほど赤字になるってことじゃん」といったことになってしまいますが、慢性的に事業自体に問題があっての赤字ということではなく、
「ここをこのように改善すれば、黒字化できる! そしてその改善は必ずできる!!」といったことがわかるような赤字であれば、話を進めやすくなると考えます。
そのところを口頭で話してもダメ。
しっかりと文書化し、それに基づいて説明をしていかないとなりません。そのためにも「経営計画書」が必要になってくるわけです。
どっちにしろ、金融機関はこの『金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)』というものを基準に考えてる部分もあるわけですから、これはしっかりと読んでおいたほうが良いかと思います。