企業再建・事業再生のプロ
増田崇
Mybestpro Interview
企業再建・事業再生のプロ
増田崇
#chapter1
会社の資金繰りが思うようにいかない。事業を立て直したい。そんな事業者の方の味方となって再建を支えるのが「事業再生コンサルタント」。榛原郡吉田町の増田崇さんは、静岡県内でも数少ない、会社再建、事業再生を専門に扱うプロとして活躍しています。
「おもに私のところに相談に来られるのは、中小企業の経営者の方が中心です。景気低迷など、さまざまな理由によって事業が思うようにいかなくなる。そういうときに、今後の対策を考え、立て直しの方向へと導くのが、私たち事業再生コンサルタントの仕事です」と増田さんは説明します。
まず依頼を受けると、現状を把握するためにていねいなヒアリングを行います。それをもとに、経費削減によってなんとかなる状態なのか、どこかから調達できる資金はないか、それでも難しいなら、いったん返済を止める手続きをし、その間に経営改善を図るのか、M&Aという手段を取るのか、という分析を行い、再建計画を立てていきます。
業種や経営状態、また今後どうしていきたいのかというビジョンによっても、手順や方法はさまざま。それを見極め、もっとも依頼者のためになる策を講じていくのです。
「1人でも多くの経営者の方が、前向きな気持ちになっていただけるように、これまでの実務経験をいかしたアドバイスやサポートをさせていただきます」。
#chapter2
企業コンサルタントをめざし、会計事務所等に勤務して実務経験を積んだ増田さん。3年前に企業再建の専門資格である「認定事業再生士(CTP)」を取得し、本格的に事業再生の仕事に取り組むようになりました。「経営、法律、会計・財務といった分野に精通し、かつ実務経験が豊富で、あらゆるケースに対応できる柔軟さが求められます」と増田さん。現在も県内で、この資格をもってコンサルティング業務専門に手がけているのは、増田さんだけだとか。
そんな増田さんが、仕事にやりがいを感じるのは、1つの会社を立て直せそうだというめどがついたときだそうです。
「最初は経営者の方も、これからどうなるのだろうという不安から、表情も暗く、うつむきがちなことが少なくありません。しかし、銀行や債権者の方とも話し合いを重ね、事業を立て直したいという思いを理解してもらったとき、そしてその展望が見えてきたとき、だんだん前向きになってくる。明るい表情を取り戻してくるんです」
「会社の経営者は孤独なんです」と増田さんは話します。風評が流れることを恐れて誰にも相談できず、悩みを抱えてしまいがち。でも悩んでいる間にも事態が悪化してしまうことが少なくありません。「私たちコンサルタントは、決して敷居は高くありませんから、ちょっとした悩みや相談など、どんな小さなことでも気軽にもちかけていただきたいですね」
#chapter3
経営者の方に少しでも経営に関する意識を高く持ってもらうために、増田さんは積極的に各地でセミナーを開催しています。「さまざまなジャンルに精通している事業再生士の仲間がたくさんいます。全国規模のネットワークを最大限に活用し、多くの方に役立つ話をする機会を設けています。決算書の読み方といった初歩的なことから、建築業を始めとする専門的な業種向けのセミナーまで、さまざまなニーズにお応えできますよ」
静岡はどこか保守的で、なんとかしないといけないと分かっていながら、なかなか一歩が踏み出せない、という人も多いのだとか。「お話をいただいた段階ですでに、法律上、私たち事業再生士ではどうすることもできない状態になってしまっているというケースもあります。もちろん、弁護士や会計士、税理士などとも提携していますので、ご紹介もできます。ただ、できれば早いうちに私たちに相談していただきたい。何もできないまま、破産してしまう前に、やれることをやってみましょう。何らかの手はあるはずです、と伝えたいですね」と増田さん。
困っている経営者のために、力を尽くしたい。増田さんの言葉から、そんな熱意が伝わってきます。
(取材年月:2011年11月)
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