精神分析は精神科学に基づき心の病を癒し人間の謎を解き明かす第五章-4

大澤秀行

大澤秀行

テーマ:人間とは何か



第五章 言葉を超えて 享楽の果てへ『4_信じる』



生命とは何か


私はもう一般の人の心に届かない言葉を持ってしまった。『病気は心がつくる』のタイトルを変え、表紙デザインを変えても全く売れない。社会及び一般の人々には全く響かない言葉を持ってしまった証拠が、売れないことに象徴されている。

余りに現代人は、病院や薬に頼り過ぎ、自己治癒能力の偉大さに全く気付いていない。自分の肉体および生命というものに関心がない。病気は自分が作ったものである認識が全くない。故に自分の治癒力免疫力で治そうとする意志を持たないのである。もっと自分の体の不思議さと、生命の力を知るべきだ。

生命とは何か、人間は全く理解していない。そもそも生命とは理解する対象ではなく、それをどう活用するかの目的論になってしまう。


生物の劣等性「人間」

蝶の生体メカニズム


何の為に生命を使うか。生命は曰く不可解である。蝶一匹の生命のメカニズムを知っただけでも、生命とは何かが判らない。蝶の寿命は2週間程度がほとんどの中で、一種だけ6ヶ月生き延びる蝶が居る。その秘密は花粉を食べていることだった。花の蜜だけ吸っているのとは違い、ノズルのような口のまわりに花粉を着けて、それを取り入れている。それが長寿の秘訣という。

この様に、生命の複雑さと、生きていくメカニズムとセンサーの精度の高さに、唯々驚く。人智は遠く及ばず、蝶の生体メカニズムを人が真似て、医療や工業、産業に蝶の教える物理学を使って解明し利用している。

劣等性「人間」

生命は比べようがないことに気付く。人間は唯道具を発明した事が、他の生物と異なる唯一の点である。それ以外はほとんど他の生物以下の機能しか有しない。自力では時速30数km程で、チーターは120km/h、馬では60km/h以上出せる。空も飛べない。海も長時間潜れない。

生物の劣等性は人間・ホモサピエンスである。その劣等性が、機械を発明させたのである。優等生の他の生物は、比べることのできない特殊な能力を持っているために道具をつくる必要がなかった。故に文明も文化もつくる必要がなく、自然界に適応することだけに専念した。だから進化はしても、文明の進歩はなかった。


一人の権力者が握る地球の運命


人間は生物の中で最も傲慢で残酷非道な残虐者である。捕食以外に生物を殺すのは人間だけである。動物に快楽殺人はない。動物にホロコーストはない。地球上でもっとも危険で残忍な生物は、人間である。そもそも人間に常識も道徳も倫理もない。あるのは私利私欲だけである。その為には戦争も辞さない。その決断には常識も倫理も人間尊重も博愛もない。あるのは無慈悲だけである。

何故世界中の人々は残虐な治世者に対して、意見を述べないのか。それは権力がないからである。この世の唯一の正義は権力ということになる。すべて、力あるものが、この地上を支配し、思うように人々を操り、世界を動かすのである。たった一人の権力者によって、地球の運命は握られている。

人の生命の尊厳も価値も意味も、気ままな一人の権力者により、一瞬にして失われる世界に、我々平民は生きているのだ。いや彼ら ―権力者達― の気に障らない幸運の下、たまたま生かされているのだ。その僥倖に感謝すべきなのかもしれない。


今できる最良なこと「人を信じる」


地球の運命もさることながら、人類の今後の運命も、全く予測のつかない不安定な時代に突入してしまった。もう戻れないし、方向転換も止まることもできない、二進も三進もいかない、進退窮まった状況になった。解決も逃げ道もない現状から、人類は何処に向けて舵を切るというのだろう。

今や、人間一人の力は微力だが、まとまれば大きな力となる。一つに心をまとめることが出来るなら、それが救いの道となる。人類は果たしてその道を見つけることが出来るのか。

私はそれを祈るのみである。今私の出来る最良のことは、人を信じることである。


5-3『生命』⇦

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大澤秀行
専門家

大澤秀行(精神分析家)

合同会社LAFAERO1(ラファエロワン)

精神分析家として34年の臨床実績があり、現在もメールや電話も合わせると、一日平均10名の精神分析によるセラピーを行っている。

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