怒鳴る人の心理と原因、構造|「もう怖くない」怒鳴る人の対処法

大澤秀行

大澤秀行


人を怒鳴る、なぜか怒鳴る! そういう怒鳴る人が一人でも身近に居ると、大きなストレスになりますね。それが日常的に繰り返されると、怒鳴り声が恐くなり、果ては対人恐怖に至ります。
まるで蛇に睨まれた蛙のように、一度睨まれると逆に逃げ出せなくなり、フリーズしてしまうのが人間の心です。

基本的に怒鳴る人は、何の理由もなく、腹いせに当たっているだけと考えられます。

怒鳴る人の特徴として、威圧的かつ支配的で命令支持的にものを言い、何より声が大きい! 
普通に話せばいいのに、なぜか大声で怒鳴って話します。

なぜ怒鳴ってでしか話せないのか、
その心理と原因を説き明かし、怒鳴る人を理解することにより、恐怖を感じないで対応する方法についてご紹介します。



怒鳴る人の心理



怒鳴る人は、
・自分の能力を認めて欲しい
・自分の考えを通したい
・優位に立ちたい
などという思いがあります。

この心理の裏には、これらが無かった、通じなかったという背景があります。

そのため怒鳴る人は、どうしてそうしたのかは一切説明しません。押し付けるのみです。日頃のストレスと不満、感情を、その場面の言葉に乗せています。

言葉と感情が分離していないために、怒鳴るのです。
要するに、意味と感情が弁別されていません。別なものとして分けられていません。

ラカン理論(シニフィアンの理論)でいえば、
想像界(自我)と象徴界(言葉)が分離していないということです。


位相関係にならず、
言葉=感情、そして意味が同一になり、感情が上回り、何も伝わらない! 通じない! ということになります。

人は、言葉と意味と感情が分けられていないと、どうしても感情が優位になって抑制できなくなります。上図の位相関係の文字がすべて一つになっている状態、そして中心の感情だけが表出します。

その感情表出が「怒鳴る!」

怒鳴る人の心理は「私は怒っているんだ」

とにかく心は怒りで満ちているので、
それをあらゆる時・場面で、言葉に乗せて「私は怒ってる」と怒鳴ります。

全く関係のない言葉に怒りの心を乗せて伝えています。
些か子供じみた人ということになります。

怒鳴ってしまう原因

なぜ普通に話せないのでしょうか。

怒鳴る感情的背景は、「撥ね返し」という言語です。大きい声や大きい風速などは、向こうから来るものを撥ね返す力があります。
どうしても撥ね返さなければならぬ、何かがあるということです。

怒鳴る人とは常に
「撥ね返されてきた人」
「受け容れられずに反発されてきた人」


撥ね返されてきたから、それを
押し込もう!
捻じ込もう!

 
として、そのために声が大きくなり威圧的に怒鳴ってしまいます。

何も受け容れられず、何一つ今まで通じなかったという背景が、撥ね返すという文字になりました。これは「通じた・通じない」では済まない状況だったということ、何としてもこれを通さなければならない。

どうしても自分の想いや意見を通したいという、「通す」という言語が基本にあります。

シニフィアン(思考)として、「通す」という意味を持っている人は、怒鳴ります。怒鳴って有無を言わさず無理やり通すことしかありません。

今まで通じなかったのですから、話し合いでなどということは無く、実力行使、力で捻じ伏せて通すことしか知りません。人間の大事なコミュニケーションを失っています。

怒鳴る人の構造


通すことを諦め切れない人は、
どうしても通したい! 
どうしても自分の考えは通す!
 
それを通じさせたい相手には、もう受け容れられなかったので通せません。
したがって
それを一般社会や家庭の弱者との間で再現している構造が、怒鳴る人です。
対象は誰でも何でもいいのです。

通じない人はどうしても語気が強くなります。
いつかは自分の意見を通したいために
常に一方的で支配的、命令支持的に、大きな声や怒鳴って威圧的に話します。

したがって、人の話を聞くことはありません。

それは、怒鳴る人は通じるか・通じないか、この文字で支配されているためです。

怒鳴る人の対処法

怒鳴る人は、怒鳴ることに何の理由も意味も無く怒鳴っています。唯、怒っているだけだとお判りいただけたかと思います。

感情と言語が分離されていないために、感情が上回り会話が理解されず、本願である「通したい」が実は通せないのが現状なのです。そのために怒鳴り続けるしかないという悪循環の中に居ます。

怒鳴る人とは、唯の八つ当たりなので、怒りの感情は受け取らず切り離し、流して言葉だけを聴き取るようにしましょう。

声の大きさや威圧的態度は何の意味もありません。
無力な自分を隠して大きな声で、大きく見せているだけなのです。



また自分に向けられた怒りでは無いので、
恐がらず正確に言語だけ抽出し、言表内容に対して対応しましょう。

【対応方法】

1.ただ遂行する
会話とは事実の交換から始まります。
ほとんどが業務連絡です。
言表内容が判れば、それをただ遂行するだけです。
怒鳴る人は、伝達方法が「怒鳴って伝える人」、自分に対して何の意味も無いと規定すれば、恐怖も和らぐのではないでしょうか。

2.「怒りたいんだな」と理解し聞き流す
内容が何もなくただ怒鳴っているだけの場合、
「あぁ怒りたいんだな」
と理解するだけで聞き流すのも一つの方法です。

それは無視や批判しているのではなく、「怒っている」と理解した上での対応になります。

(怒鳴ることを止めたい人)
3.先ず感情と言語を分けるように心がける
声を発する前に、一度、頭の中でどれが言語で感情かを考えると弁別できます。すると言語のみが相手に向かうので、通じるようになります。
感情を乗せずに話すと会話ができるようになり、正確に伝えたいことが通じるでしょう。

まとめ

相互間で言語だけを抽出し言表内容が理解できれば、会話が可能になり、通じるので怒鳴る必要がなくなります。

するとコミュニケーションがとれ、スムースに行動ができるようになり、お互いストレスも無くなるでしょう。そして受容と理解へと、より良い人間関係を築いていけるのではないでしょうか。


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大澤秀行
専門家

大澤秀行(精神分析家)

合同会社LAFAERO1(ラファエロワン)

精神分析家として34年の臨床実績があり、現在もメールや電話も合わせると、一日平均10名の精神分析によるセラピーを行っている。

大澤秀行プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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