過保護とは?意味と具体例、過保護だと子供はどうなるか?

大澤秀行

大澤秀行

過保護とは「過剰な保護」という意味です。過剰な保護とは、言い換えると「過剰な世話行動」という意味です。過剰な世話行動を過保護と言います。

過剰な世話というのは具体的にはこういうことです。子供が成長してある程度の年齢に来ると、自力で出来ることも増えてきます。例えば一、二年経つと自分で靴下を履こうとします。これが一番親は苦痛です。自分が履かせたら一、二秒で終わりますが、これを子供がしたら一分でも二分でもかかってしまうからです。


大人の口癖は「早くしろ」です。お出かけの時は特にそうです。すると面倒くさいので親がやってしまいます。こうして自分で出来ることを親が、半強制的にと言いますか、相手の意向を聞かずにやってしまう行為を過剰世話行動と言います。すなわち、自分が出来ることに親が手を出す行為を過保護と言います。

着替えなんかは大変です。待っていたら朝が来るぐらい子供はゆっくり手間がかかります。それでも自分でやりたいのです。そういう自主性が芽生えてきた時に、親がじっと我慢して見守れるかどうかが自律性への瀬戸際です。

ここで手を出された子は過保護に行きます。ここで子供が学ぶのは楽ちんです。自分でやるのが面倒くさくなってきます。足を出せば靴下を履かせてくれる、これはオートマティックソックス履きだから楽です。ドアの前に立てばドアが開く自動ドアみたいなもので、これに味を占めてしまったら自力、自主性、自発性を損なわれます。そのため過保護というのは非常に養育体験の中で重要視するポイントです。最適な親、適切な親というのは黙って見ていられる親の事を指します。何分、何秒、何十秒かかろうともじっと見ているという、これが親には中々難しいことです。

子供時代は子供が親に依存するという、すなわち甘えるということが一番重要視される時期です。過保護は甘えの欠如を生みます。先ほど靴下の例を使いましたが、自分が履こうとするのに履かせてしまうということは、現実的に履くという行為が達成してしまいます。問題は、甘えというのは自分で履けるのに親にさせることが甘えです。ということは、履いていない状態まで、もう一度時間を戻さなければなりません。この履いていない時間を過ごしてない子は過保護によって依存欲求を奪われてしまっています。依存したことがないので依存したいとなります。不適切な世話行動は過剰な依存欲求を作ってしまいます。過保護は過剰な依存欲求の原因にもなるのです。

甘えようとする前に履かされてしまったのだから、甘えを親に訴える体験が出来ませんでした。だから、過保護というのは子供が親に甘える心を奪う行為なのです。子供は自分で出来るのに親にさせるという行為をする時もあります。自分で出来るのにわざとやらないということがあります。そういったことは子供時代の中心テーマは甘えなのだということを教えてくれます。子供時代に甘えるということが欠損すると後に依存症になっていく傾向も強くなります。

まとめ


過保護とは?
・過剰な世話行動をすること。
・子供が自分で出来ることに親が手を出す行為。
・子供が親に甘える心を奪う行為。

過保護だと子供はどうなるか?
・自力、自主性、自発性を損なう。
・過剰な依存欲求をつくる。
・甘えが欠損するので後に依存症になっていく傾向が強くなる。

過保護ではない最適な親とは?
・自主性が芽生えてきた時にじっと見守れる親。
・時間がかかろうとも黙って見ていられる親。


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大澤秀行
専門家

大澤秀行(精神分析家)

合同会社LAFAERO1(ラファエロワン)

精神分析家として34年の臨床実績があり、現在もメールや電話も合わせると、一日平均10名の精神分析によるセラピーを行っている。

大澤秀行プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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