鏡像関係は、絶対的孤独な人間の寂しさと孤立感を癒す
「偽りの自分で人と関わっていたら、本当の自分を忘れてしまった。」
「友だちに嫌われないように合わせていたら、どれが本当の自分か分からなくなってしまった。」
「自分のキャラを作ってしまい、素の自分が分からなくなってしまった。素の自分に戻りたいのに、どれが本当の自分なのか分からない。」
中高生が発するこれらの言葉は、どれが本当の自分か、仮面の自分なのか分からなくなってしまった混乱状況を訴えています。
私たちを取り巻く社会は年齢によって変化していきます。まず家という閉鎖空間の中で親子関係を通して自我は作られ、そして社会への準備として、学校という環境の中で人格というペルソナを身に付けます。そのペルソナを付けて、社会に飛び出します。
ペルソナとは、他者からの要請において作られた仮面のことです。みんなが自分に何を求めているか、他者の要請に合わせた自我をペルソナといいます。
学校は家と社会の中間地帯にあります。学校では集団というものを形成します。個から集団ということは、個人というここにも個性という一つの仮面があるとすれば、社会用の集団用の仮面を作らなければなりません。なぜなら、多くの人に対応しなければならないからです。自分の個性はある特定の人にしか通用しないのを知っています。だから、多くの人と関わるためには、いくつものペルソナを持って集団へと向かわざるを得ません。
これを上手く使いこなし、世渡りは楽だと思えれば、ペルソナを無意識に使いこなせるようになります。
ペルソナの欠点は、あまり数多く持っていると、どれが本当の自分の仮面なのかわからなくなってしまうことです。この無意識的状況が一番危険です。ペルソナをいっぱい持っている人は誰にでも合わせるから、フリが上手です。すると「本当の私はどこ? どの仮面?」という問いが発生します。そしてジレンマに陥ります。私が何者かわからなくなってしまうところから精神分析が求められます。
思春期は身体の発達と社会性のプレッシャーと、心と体の発達が急激な時です。しかし、ここを上手く整理して、優先順位を決めて心と体を整えていく手当をすれば、何のことはありません。ただそれを放置しておくと、後の神経症の因子になるということは間違いなく言えます。早めの手当が大事です。
ありのままの自分になりたいと思ったら、迷わず精神分析の戸を叩いて下さい。