定年後に飲食店を開業するために知っておくべきこと
近年、早期退職制度を設ける企業が増えてきました。早期退職制度を利用して退職した場合、割増退職金が得られるとあって、飛びつく50代の人も目立ってきています。割増退職金は起業する際の強い味方です。
事業が軌道に乗るまでのあいだの運転資金として活用できるからです。この記事では、早期退職制度を利用して起業するメリットについて解説します。
早期退職制度を利用して割増退職金を得る
時代が急速に変化するなか、50代も大きな岐路にさしかかっています。かつてのように給与が年功に応じて上がったのはもはや昔の話。
現在は、歴史のある企業でも一定の成果主義を取り入れており、50代を中心とした中堅従業員の働き方をしっかりと管理しようとする動きが目立ってきています。こうしたなか、企業では早期退職制度を活用する流れが出てきました。
早期退職制度は2つに大別されます。ひとつは「早期希望退職制度」です。これは、いわゆるリストラの一環で行われるもので、自ら手を挙げて退職を選択します。この制度を利用した場合、割増退職金が支給されるケースが一般的です。その割増率は企業によって異なりますが、大企業だと月給の12~60か月分にもなることもあるようです。
もうひとつは「選択定年制度」です。「早期希望退職制度」はリストラの一環として行われる一方で、「選択定年制度」は業績の良し悪しによらず、経営上の理由で設けられている制度です。「選択定年制度」においては、設けられた条件に合致すれば、割増退職金を受給することができるようです。
割増退職金は起業時の運転資金として活用できる
さて、起業希望者にとって「早期退職制度」にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
まず挙げられるのが「一定の事業資金を確保できる」ことです。一般的に起業に必要な資金は2000~3000万円とされています。
このような多額のお金を用意するため、多くの起業家は日本政策金融公庫などの融資に頼っているのが実態です。しかし、当然のことながら、借金であるため、返済を迫られることになります。もし事業がうまくいかなかった場合、借金苦に陥る恐れがあることは理解できるでしょう。
早期退職制度を活用して割増退職金を得た場合、手元現金が豊富な状態で事業を始めることができます。一般的に事業を始めて2~3年は事業がうまくまわらないケースが多く、手元現金は少なくなりがちです。実際に起業するとよくわかりますが、収入がなく、手元現金が徐々になくなっていく心理的な圧迫感は相当なものです。
この辛さに耐えられずに、事業を志し半ばで辞めてしまう人がいるほどです。割増退職金により一定のお金が確保できれば、そういった不安が少しは軽減されます。また資金があれば事業に専念することもできます。
資格試験の勉強時間を確保してセミナーや起業塾に参加する
もうひとつのメリットは「時間に余裕ができる」ことです。もし、行政書士や社会保険労務士、中小企業診断士など、士業で独立開業を志す場合は資格試験の勉強に時間を使うのもよいでしょう。
これらの試験は効率よく勉強しても1年かかるケースがほとんどです。集中して勉強することで、早期に資格を取得することができるかもしれません。
もし、起業はしたいが事業の内容について迷いがあったり、決めかねているのであれば時間を使って、さまざまな場所に出向き、アイデアを得るのも一案です。
近年、自治体や商工会議所などでは、起業希望者向けのセミナーが頻繁に開催されています。なかには起業塾といった起業に特化した専門講座が行われていることもあります。こうした機会を利用して、起業に必要な知見を増やしつつ、ビジネスの種を見つけるのもよいでしょう。
とはいえ、考えすぎて動けなくなるのは問題です。ビジネスは動いてこそ成果が出るものだからです。
さまざま場所に足を運びビジネスの種を見つけたら、とりあえず試してみることをおすすめします。そうすれば、そのビジネスが自分に合っているのかそうではないのかがわかりますし、事業を行うということが肌感覚を持って理解できるようになります。
ただし、試行段階ではお金をかけすぎないことが重要です。もし失敗をしても、被害が少なければ再起できるからです。くれぐれも試行段階から多額のお金をかけて事業を動かすことはやめましょう。
そして、起業準備段階からお金の管理について徹底的に勉強しておくことが重要です。なぜなら、一度起業すると多忙になってしまい、お金の管理について学ぶ時間がなくなってしまう可能性が高いからです。
ビジネスは自分一人で行うことは難しいとされます。起業準備段階から専門家の知恵を借りることを視野に入れて動くとよいでしょう。以前の記事でも解説しましたが、お金を出して自分ができないことをやってもらうのも一案です。
例えば、面倒な税務や社会保険手続きなどがそれにあたります。時宜に応じて、さまざまサービスを活用して事業を加速させていきましょう。