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中小企業診断士は、日本唯一の経営コンサルタントの国家資格です。独占業務はありませんが、自らの発案でビジネスを創出できるのが中小企業診断士の大きな魅力です。
定年後、中小企業診断士としてスムーズに発進するには、キャリアの棚卸しのほか、中小企業診断士に求められる3つの能力の強化が必要です。この記事では、定年後に中小企業診断士として独立開業するために必要なことや成功例などについて解説します。
定年後、中小企業診断士として独立開業する
経営コンサルタントは名刺を持てば誰でもなることができますが、その質はさまざまと言われています。
中小企業診断士を取得した人は、経営コンサルタントに資する一定の知識を備えていることが証明されていることから、クライアントは安心して業務を依頼することができます。
しかし、中小企業診断士資格の取得は難関です。試験は合格率が20%前後の1次試験や2次試験のほか、3次試験まであります。
試験科目は1次試験の場合、「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」の7科目と多岐にわたり、おおよそ1000~2000時間の学習時間が必要とされます。
そして、2次試験では記述ベースの論述型の試験が待ち受けており、企業経営理論のほか、マーケティングや人事、財務などの深い知識が問われます。3次試験は口述試験ですが、合格率はほぼ100%なので、準備をしておけば大丈夫でしょう。
中小企業診断士の独立開業の成功例とは?
よく中小企業診断士は「取得しても稼げない」と言われます。実際、中小企業診断士の多くは「企業内診断士(独立開業せずに企業に留まっている中小企業診断士のこと)」として大企業を中心に勤務しているのが実態です。
その一因は独占業務がないことにあります。税理士や社会保険労務士、司法書士などと違い、中小企業診断士は自身のみだけが手がけることができる独占業務がないのです。
つまり、ほかの資格者の場合は独占業務を核にして業務を始めることができますが、中小企業診断士は自分で活躍するフィールドを作っていかなければならないのです。とはいえ、中小企業診断士として独立開業して成功している人はたくさんいます。これらの人たちは、どのようにして成功しているのでしょうか。
前述した通り、中小企業診断士として独立開業するためには自分で活躍するフィールドを作る必要があります。しかし、それは決して難しいことではありません。自分がこれまで蓄積してきた専門性を活かしていけばいいのです。
例えば、財務部門で活躍していたシニアがいるとしましょう。その人は「会計・財務コンサルタント」として中小企業に対して価値ある提案を行えば、きっと喜ばれるはずです。
あるいは工場勤務が長いエンジニアの場合、どうでしょうか。日本はものづくり大国と呼ばれていますが、その競争力の源泉となっているのはものづくり現場で行われている改善です。
長年工場で勤務しているエンジニアならば、中小企業の生産設備のボトルネックを見つけ出し、改善に導くことは可能なはずです。
このようにして、自分が今までやってきた専門知識を駆使して、定年後にアドバイスを行う中小企業診断士は多いようです。
自らビジネスを創出できるのが中小企業診断士の魅力
中小企業診断士としての仕事を、定年後にスムーズに進めるためにはどのようなことが必要でしょうか。
最初にやることはキャリアの棚卸しです。前述したとおり、中小企業診断士は自らサービスの内容を自由に決めることができます。人事が得意なら人事コンサルタントとして、プレゼンが得意ならプレゼンのコンサルタントとして活躍することも可能でしょう。要は、自分の発案次第で仕事を作り出すことができるということです。
次に行いたいのは「読み」「書き」「話す」能力の向上です。中小企業診断士は一般的にこの3つの能力が問われると言われています。
「読み」は財務諸表などを読んで的確なアドバイスをクライアントにすることです。
「書き」は原稿や報告書などを書いて、知識や経験を伝えることです。
そして「話す」は、講演などで自分の考えを聴衆にわかりやすく伝える能力のことです。
これらどの能力が欠けても、クライアントに信頼してもらうことはできません。定年前から、日々積み重ねを行い、能力向上に努めるとよいでしょう。
近年、中小企業診断士と税理士、中小企業診断士と社会保険労務士といったように、ダブルライセンスで活躍する人も増えてきました。2つの資格があれば、ほかの人を大きく引き離すことができるかもしれません。しかしながら、何度も言うように中小企業診断士は活躍するフィールドを自ら作っていかなければなりません。
資格を備えたうえで、仕事を自ら創り出す気概が必要なのです。スムーズに独立開業できるように、定年前からどのような中小企業診断士になりたいのか、考えておくのが良いでしょう。