起業前、起業後の相談は内容ごとに専門アドバイザーに頼ろう
十分な資金がなければ、ビジネスの成功はおぼつきません。そのため、シニア起業家は、資金調達の方法についてもしっかりと把握しておくべきです。
近年、資金調達の方法は多様化しています。従来型の「助成金」や「補助金」、「融資」のほか、インターネットを通じて事業資金を集める「クラウドファンディング」も認知されつつあります。この記事では、シニア起業家が知っておくべき資金調達の方法について解説します。
定年後に起業するなら資金調達の基礎知識についても頭に入れておくべき
ビジネスを円滑に進めるには、資金調達についてもしっかりと考えておくべきです。とはいえ、最初から借り入れに頼るのは考えもの。できる限り、自己資金で始めるようにしましょう。
一般的に起業における自己資金は600万円程度あれば安心と言われていますが(もちろん業種業態によります)、多いに越したことはありません。定年後に起業を考えている人は、自己資金の充実を目指して貯金に励みましょう。
しかし、自己資金だけでは心もとないシニアも当然いるのでしょう。その場合、なんらかの方法で資金を調達する必要があります。近年、インターネットが急速に普及したこともあって、資金調達の方法が多様化しています。従来型の資金調達の方法である銀行融資だけにとどまらなくなっているのです。
起業する際は返済不要となる資金である助成金や補助金を検討したい
それでは資金調達の方法について具体的に説明していきましょう。まずおすすめしたいのは、「助成金」と「補助金」です。
「助成金」とは、一定の条件を満たせば原則誰でも申請できて受け取ることができる資金のことです。
一方、「補助金」とは、一定の条件を満たすことは同じですが、申請しても受け取れない可能性がある資金のことです。
「助成金」も「補助金」も公的資金ですが、原則返済不要となる資金なので積極的に活用したいものです。
シニア起業家が活用できる助成金のひとつに「生涯現役起業家助成金」があります。これは厚生労働省が2016年4月に新設した制度です。40歳以上で起業した人に対し、雇用に関する経費の一部が助成されます。詳しくは次の記事で説明しますので、ぜひご覧ください。
一方の「補助金」ですが、年齢制限はなく、競争率が高い可能性はあるものの、多数用意されています。「創業・事業継承補助金」は中小企業庁が実施している補助金で、従業員を1名以上雇い入れることを条件に、最大200万円が補助されます。
国だけでなく都道府県レベルで用意されている「助成金」「補助金」もあります。秋田県には「企業支援事業費補助金」、千葉県には「ちば創業応援助成金」、富山県には「創業・ベンチャー挑戦応援事業」、大阪府には「大阪起業家スタートアップ補助金」があります。これらの自治体に住んでいる方は活用を検討するとよいでしょう。
クラウドファンディングなど、資金調達の方法は多様化している
「助成金」や「補助金」に抵抗がある場合は、銀行から融資を受けるのも手です。
その際、最初に検討したいのが、日本政策金融公庫が提供している「女性、若者/シニア起業家支援資金」です。この制度は「事業開始後おおむね7年以内の女性または35歳未満もしくは55歳以上」の創業者を対象としたもので、融資の限度額は7200万円(うち運転資金は4800万円)と高額であることが特徴です。
返済期間は設備資金であれば20年以内、運転資金だと7年以内となっています。なお、金利については保証人の有無などによって差がありますが、年利1.56から2.65とほかの銀行よりも低く抑えられています。そのため、創業して借り入れを検討する際は、まず日本政策金融公庫に相談することをおすすめします。
プレゼンが得意な起業家なら「クラウドファンディング」を活用することも一案です。「クラウドファンディング」とは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集めることです。自分のビジネスプランを、クラウドファンディング支援サイトなどを通じてアピールすることで、借り入れリスクを負わずに事業を開始することができます。
近年、さまざまなクラウドファンディング支援サイトが開設されていることもあってか、クラウドファンディングでの資金調達額は右肩上がりで推移しています。しかしながら、軽い気持ちでクラウドファンディングを利用するのは考えものです。出資者に対して説明する責任があるので注意が必要です。
このように、資金調達の方法はさまざまで、それぞれに特徴があります。資金調達を行う際は、メリットとデメリットをしっかりと把握するようにしましょう。そのためには、事前調査が必要不可欠です。先輩の起業家に話を聞くことや資金調達に詳しい専門家(税理士や中小企業診断士など)に相談してみるとよいでしょう。