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自動車販売店の税務処理に携わっていると、自動車販売店特有の間違えやすいポイントがあります。
中でも、開業して間もない中古車販売店の経営者に多く見られるのが、自動車税、自賠責保険料、リサイクル預託金の取り扱いの中で発生する、経理処理と消費税の課税区分についての誤りです。
そこで今回は、自動車税・自賠責保険料・リサイクル預託金の適正な取り扱いや税務処理についてご紹介したいと思います。
自動車税と自賠責保険料でよくある誤った処理
中古車の販売価格には、車両本体価格と諸経費の他に、未経過期間に対する自動車税額と自賠責保険料を含めた金額を上乗せするのが一般的です。
この際によく見られるのが、自動車税は租税公課(税金による負担金)だから、「マイナスで計上する」という認識です。
また自賠責保険料も同様に、保険は支払保険料となるから「マイナスで計上する」という処理が見受けられます。しかしこれらは誤った処理となる為、正しい処理方法を次項でご説明します。
正しい処理とは?
では、どのような処理が正しいのでしょうか?
まずは自動車税の課税の仕組みを理解する必要があります。そもそも自動車税は、毎年4月1日現在の車の所有者に対して請求される税金です。
つまり、中古車を購入した時に支払う未経過期間に相当する金額は、自動車税を支払うわけではなく、あくまでも中古車の購入代金の一部として支払う金額となるのです。
また自賠責保険料も、自動車税と同じ考え方となります。自賠責保険料は車検の際に支払う保険料である為、購入時に支払う未経過部分に相当する金額は、中古車の購入代金の一部として支払う金額となります。
従って、中古車販売における自動車税と自賠責保険料は、マイナスで計上するのではなく「売上高」として処理するのが正しい税務処理となるのです。
但しここで注意点があります。
自動車税や自賠責保険料をマイナス計上で経理処理をしても、または売上高として処理したとしても、最終的には「利益」になることに違いはありません。
しかし、この処理のままだと後々問題が発生してくることがあります。
本来、売上高は消費税の課税対象となる項目ですが、マイナスで経費処理をしてしまうと、消費税の課税対象に該当しなくなります。
そこで万が一、税務調査が入り、マイナスで計上しているのが見つかった時には、消費税申告漏れと見なされ、追徴課税される可能性があることに経営者は注意しておきましょう。
リサイクル預託金の税務処理
リサイクル預託金は「使用済み自動車の再資源化等に関する法律」に基づいて、資金管理法人に預託されているものです。
中古車を販売する際のリサイクル預託金相当額の税務は、自動車税と同じ扱いとなり、未経過期間に相当する額を販売価格に上乗せして「売上高」として経理処理します。
その際には、売り主から買主への預託金の譲渡となり、金銭債権の譲渡として、消費税は非課税として扱われるのです。従って、経営者が税務処理を行う際には、勘定項目を分けるなどの工夫をすると良いでしょう。