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現在多くの企業が参入している介護事業。高齢化社会に向けて需要の拡大が期待できるとされている一方、経営の土台をしっかり作らないと存続が難しい業界であると言われています。そこで今回は、経営基盤を作るための介護事業運営における会計処理のお話、経営ポイントや節税など、介護事業者が役立つ内容をご紹介したいと思います。
介護会計の処理基準
介護事業の運営では、基準に沿った会計処理を行なうことがとても重要です。
具体的には、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(第38条)で「指定訪問介護事業者ごとに経理を区分するとともに、指定訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない」と定めています。
なお、指定訪問介護事業者以外の指定介護事業者であれば、この第38条が準用されます。
例を挙げると、一つの会社で、飲食店、訪問介護施設、通所型介護施設の3つを運営している場合には、3つの会計に分けて処理することが必要です。
また会計基準の処理方法は以下の4つがあり、それぞれ法人の事務的負担に考慮しつつ、適切な会計処理を行うための配慮がされています。
(1)会計単位分割方式
施設あるいは事業拠点ごとに、介護サービス事業別に独立した主要簿(仕訳帳及び総勘定元帳)を有します。貸借対照表や損益計算書等は、事業所ごとの作成が必要です。
(2)本支店会計方式
主要簿は事業拠点ごとの介護サービス事業別に作成するが、貸借対照表の純資産の部は分離せず、本店区分のみ存在させる方式。
(3)部門補助科目方式
勘定科目に補助コードを設定し、仕訳時にこの補助コードを記入することで、介護サ-ビス事業別の数値が集計できるようにする方式。
(4)区分表方式
仕訳時に区分しないで、計算書類の数値をそれぞれの科目に応じて按分基準を設け、配分表によって介護サービス事業別の結果表を作成する方式。
以上が会計区分の概要ですが、経費(個別経費と共通経費がある)については部門ごとに割り振ります。その振り分けでは、按分基準に則った適切な処理が必要であることに注意しましょう。
経営のポイント
社会奉仕的要素の強い介護事業といえども、経営するからにはしっかり売上げを意識することが重要です。
そこでのポイントは、売上げを一元管理することに尽きます。業務の効率化や、売上げ目標の達成具合を誰もが一目で把握できるメリットがあるためです。
一元管理の次に大切なのが、収支バランスの管理です。ここでポイントとなるのが、経費の状況を把握し見直しをすることです。
売上げが上がったとしても、経費が高ければ、利益が減るのは当然のこと。職員一丸となって、経費節減意識を高める必要があるでしょう。その際には、介護事業運営に強い税理士からの客観的なアドバイス受けることは、有効な手段となります。
節税対策のポイント
介護事業者は、売上の多くが非課税になる業界であるがゆえに、どんぶり勘定になってしまう事業者が多く存在する傾向にあります。中には、売上台帳すらつけていない事業者も存在すると言われています。
そのため、税務調査が入った場合には、会計処理に対する税務署からの指摘により、過去にさかのぼっての修正申告や、最悪の場合には追徴課税しなければならないケースもあります。
日ごろからしっかりと売上げの管理をしていたとすれば、無駄な税金の支払いを防ぐことができたかもしれません。つまり、適切な税務処理を行なうことが、最終的には節税につながるのです。