やさしい為替デリバティブの話 (3)
「従業員が『○○合同労組』の『書記長』と名乗る人物を連れてきて、『団体交渉』を要求されている。」「全然聞いたこともない組合です。」
と最近駆け込み相談しに来られる方が多くなってきてます。事務所の顧問先じゃない中小企業の経営者の方からの相談です。最近はどの企業も財務状況が厳しく、労働条件の見直しをした途端、従業員が地域労組(ユニオン、合同労組)に加入して、団体交渉の申し入れがなされるというケースです。
経営者にとっては、うちの会社には組合がないと安心しきっていたところに、急に「合同労組」を名乗る団体からの団体交渉の申し入れられ、何が何だか解らないのが実情ですね。しかも、従来は組合がなかった会社でしたから、経営者には、「組合」の知識も、「団体交渉」のノウハウも持ち合わせていない方がほとんどです。
事務所に来るなり、経営者の方は「(組合と)団体交渉に、応じなければならないのでしょうか?」と聞いてこられます。今まで、「組合」と何の面識もなかったわけですから、仕方ないですよね。
でも・・・・教科書的に答えれば、
「経営者側が、正当な理由なく団体交渉を拒絶することはできません。なぜならば、労働者には、日本国憲法第28条で、団結権と団体交渉権が認められているからです。」ということになります。
ただ、そうは言うものの、労働組合から団体交渉要求がなされていることが外部に漏れて、「取引先が支払い条件を厳しくしてきた」とか、「金融機関の対応がきつくなった」とかの話はよく聞きます。法律上認められていることが、実際の経営では非常にマイナスになることも多いので、経営者の心情としては一刻も早く、解決したいと考えるのが常です。ただ、会社の財政状況からして、組合の要求にすべて応じられるだけの余裕がないことが多いのも事実です。
従来、このようなケースが少なかったこともあり、弁護士が団体交渉の場に臨むことは、あまりありませんでした。しかし、昨今の不況の中、双方がギリギリの要求で対峙せざるを得ない場面が多くなってきています。このようなケースではなおさらプロとしての「交渉人」が必要となってきています。
次回は、この団体交渉での、交渉の「肝」についてお話します。