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西村隆志

中小企業の立場にたった債権回収の専門家

西村隆志(にしむらたかし) / 弁護士

西村隆志法律事務所

コラム

契約書整備の重要性

2013年11月20日 公開 / 2020年1月21日更新

コラムカテゴリ:法律関連

 取引の相手方の信用にとくに問題がなく、いよいよ取引に入るという段階で重要なのは、
契約書の整備です。契約書を整備することによって、契約内容についての紛争が生じることも
未然に防ぐことが可能となります。
 また、契約書の整備をすることで、相手方が信用不安に陥った場合に、速やかに債権回収
手続きを取ることが可能となります。そのためには、次のような条項を設けることが有益です。

 
<期限の利益喪失条項>
 提供した商品や役務に対する支払期日が到来する前に相手方が信用不安に陥ったとしても、
民法の原則では、「債務者が破産手続き開始決定を受けたとき」、「担保を滅失・損傷・
減少させたとき」、「担保提供義務を履行しないとき」を除いて、支払期日が到来するまでは
代金の支払いを請求できません。
 そこで、契約書には民法の原則の特約条項として、「債務の支払いを怠ったとき」、
「破産・民事再生・会社更生・特別清算の申立てをおこなったとき、または申立てを受けたとき」、
「滞納処分、差押さえ・仮差押さえ・仮処分などを受けたとき」などには残債務について期限
が到来する前でも請求できる旨を定めておきましょう。


<契約解除条項>
 取引先が信用不安に陥ったり、倒産手続きに入ったとしても、取引先との契約がただちに
終了するわけではありません。
 そのため、継続的な商品売買の取引契約を締結していた場合、取引先が信用不安に陥って
いることを知りながらも、取引先の求めに応じて商品を売らざるを得ないという状況になってしまいます。
 そこで、契約解除についての特約条項として、「債務の支払いを怠ったとき」、
「破産・民事再生・会社更生・特別清算の申立てをおこなったときまたは申立てを受けたとき」、
「滞納処分、差押さえ・仮差押さえ・仮処分等を受けたとき」などは、ただちに契約解除をすることが
できる旨の条項を設けておくと良いでしょう。


<所有権留保条項>
 所有権留保とは、こちらが商品を提供する取引において、商品の占有を買主である取引先に
移転させる一方、取引先からの商品代金の支払いが完了するまでは当該商品の所有権をこちらに
残しておくというものです。
 これも担保の一種となるものです。商品代金の支払いが遅滞したり、取引先が信用不安に
陥った場合、所有権に基づいて留保権を行使し、商品を引きあげることができます。

 
<損害賠償条項>
 支払い遅延の場合における遅延損害金をあらかじめ約定しておき、相手方にプレッシャーを
かけておくのも効果的です。


<管轄裁判所条項>
 債権回収のための訴訟をすることになったとき、もしくは、相手方から訴訟を提起されたときの
ことを想定し、特約で裁判所の管轄を自社の本店所在地を管轄する裁判所に限定しておきます。
 このことで自社の時間的・費用的負担を抑えることができるとともに、相手方に時間的・
費用的負担がかかることから、有利に債権回収を進めることが可能となります。

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