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債権回収において、もっとも重要なことは、そもそも不良債権の発生を防ぐことです。
債権回収のための法的手続きには、費用も手間もかかります。そのため、不良債権が
できる限り発生しないように事前に準備をしておくことが必要です。
この事前準備には、まずは取引先、あるいはこれから取引に入ろうとする相手の
信用情報を収集することが重要となります。
では、取引相手の情報を収集する方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
まず、相手と会って話を聞く、会社の様子を目で見て確認するなどといった直接的な手段があります。
会社の業績のように客観的な数字として現れる情報はもちろん、オフィスのなかの状況、
在庫の状況、従業員のモチベーションなど、必ずしも決算書などの書類には表れないものの
なかに重要な情報が含まれている場合もあります。
次に、取引相手の周辺にいる関係者に聞き込みをして情報を得るという間接的な手段もあります。
出入りの業者などから、「最近、あの会社は金払いが悪くなった」などという話を聞いた場合には、
要注意でしょう。
ほかにもインターネット上の風評など、真偽が不明な噂であっても軽視せず、貴重な情報の
ひとつとして慎重に検討する姿勢が必要です。
第三者の立場から見た中立的・客観的な視点や判断から、相手の信用度を探りたい場合には、
調査機関を活用する方法もあります。
コストはかかりますが、調査機関は多様な情報収集のノウハウを持っており、また一般的に
分析力にも優れているので、自社だけの調査では見逃していた重要な判断材料をもたらして
くれることも少なくないでしょう。
また、ここでの情報収集は、取引先の財産を仮差押さえする際の、財産調査にもつながるので、
その意味でも非常に有益です。代表的な調査機関には、帝国データバンク、東京商工リサーチ
などがあります。
さらに、取引相手に関する情報は、さまざまな文書の形で存在します。それらを入手し分析する
ことによっても、信用情報の収集に結びつく多くの手がかりを得ることができます。
たとえば、商業登記簿、不動産登記簿、決算書などが大変有用です。商業登記簿を見れば、
会社の代表取締役の氏名と住所、資本金などが一目でわかります。
この文書の確認で、相手方の代表者を間違えるといったリスクを抑えることが可能になります。
また、それまでに役員に就任していた資産家が最近になって退任していた場合や、頻繁に商号や
本店所在地、役員が変わっている場合などは注意が必要です。
さらに、取引相手の所有する土地・建物について記載した不動産登記簿をみれば、抵当権の
設定状況などがわかり、現在どの程度の債務を負っているのかを推測することができます。
くわえて、取引相手の取引銀行を知ることもできるので、支払いが滞ったときに仮差押さえを
するための財産をチェックすることも可能となります。
銀行以外の会社や個人が抵当権を有しているような場合は要注意です。
商業登記簿、不動産登記簿は各地の法務局で閲覧できます。また、それらの謄本や抄本もその場で
入手することができます。最近は登記簿のコンピューター化が進められており、登記情報のほとんどを
インターネットで入手することもできるようになりました。
決算書は取引相手から任意に開示してもらえれば、有益な情報となります。決算書で取引相手の
経営状況・財産状況を知ることができます。
決算書では、とくに貸借対照表の「棚卸資産」に注目してください。「棚卸資産」とは、大まかに
いうと商品在庫やそれに付随するものを指します。
この「棚卸資産」の回転率が低く、金額が次第に膨らんでいると、過剰の商品在庫を抱えている
ことになるので要注意です。